彼女の叫び
ああああああ!
田中芽衣は、その姿をみてため息をはいた。
私と同じような立場にある一人の女の子が高等部から入学してきた。彼女は、私とちがい可憐でヒロインってかんじ。
その子に、ぶつかろうとしてよろける麗様。
はう、可愛いですね!でも、ダメです麗様!恐ろしい形相であなたがぶつかった男を睨む………青竜院様が…こわいっ!
あーあーあー、どうしたのですか?麗様!
「はぁ、芽衣さん。私には、役不足みたいですわ…」
そうぽつりと呟く。
「え?」
「………悪役というものは、難しいんですのね。でも、私はやらなければいけませんわね!頑張りますわ!」
あれ?なんか、変な方向に進んでいませんか?
悪役って聞こえましたが、どういう……
って、ああ!鋭い視線!
もしや、この視線は……
麗様、あなたがやろうとしていることは無駄ですよ!逆に悪い方向へ行ってます、確実に!
という、彼女の叫びは届かない。
*****
「うーらら、あー可愛いな。でもさ、他の男に触らせるなんて…ダメだよね?」
「あー、こいつ末期だわ…」
隣にいつもいる、青竜院雅人の一番の友人…霧雨晴は、同情するかのような瞳で雅人を見ると花園麗をみた。
「あー、あ。変な奴に目、つけられちゃったね。」