少年、惚れ直す
それは、中等部の頃のお話。
群を抜いて美少女な花園麗は、やはり目立つ。縦ロールということも、目立つ。
そんな彼女の中等部の頃のお話。
初等部よりも、外部生がおおくなる中等部では格差も派閥も分かれる。中には成り上がりの金持ちや頭脳で入学してくる人もいるのだ。そんな中等部では、庶民と生粋のお嬢様と坊ちゃんは横暴な態度にでるものだ。
この頃、ますます色恋に興味を示すもので美少女や美男子はやはり注目の的である。
美少女な花園麗も、注目されるが周りには屈強な女子が身を固めている。ロココな印象と、取り巻きの女子たちのおかげで、女王とあだ名がついてしまう。そうとは、知らない麗は日々真面目に勉強をする。
「麗様、最近ですね…庶民の山中さんが調子にのっていますのよ?」
と、とある日取り巻き1が呟いた。
庶民の山中さんとは、中等部からはいったミーハーな女子で綺麗顔の男子が多いことで有名なこの学園へと入学してきたどこかの病院の娘だ。
「まぁ。それがどうしたのかしら?紀さん」
取り巻き1は、紀というらしい。
「青竜院様の周りをウロウロしているらしいんですの!迷惑そうなお顔をしていらしゃるのに、毎日ウロウロしてるみたいなんです!」
周りの取り巻きたちも、その言葉に続いて次々とはやし立てる。
「はしたないですよ」「汚らしい」
「これだから、庶民は」「消えてほしいわ」
それを黙ってきいていた、否勉強をしていた麗は唐突に口を開いた。
「なんて、汚い言葉。せっかくの美しいお顔が台無しよ。皆さん?」
そういって、微笑みを浮かべる麗が一番美しく見えた。
「一人の淑女、一人の殿方。年齢も財力も権力も関係ありませんわ。汚らしい言葉を口にするよりも美しい言葉を口にした方が心も美しくなりますのよ?」
微笑みを浮かべながら、麗は話を続ける。
「私、世の中にあるいじめなど理解し難いですわ。どうして、人を貶すことが出来るのかしら?だから、嫌いよいじめなんて…」
少し悲しげな表情を浮かべたが、パッと笑顔になって取り巻きたちに話を続ける。
「いいですのよ、恋は。女の子を美しくするもの。山中さんも、恋をしていらっしゃるのよ。いいじゃない、恋は自由なんですのよ?まるで物語のようじゃない?」
そう言った麗に、呆気にとられたがすぐに目を輝かせて、
「さすがですわ、麗様!!」
「心が美しいわ…麗様は」
と口々にいう。
そんな彼女たちを、遮るかのように麗はまた口をひらいた。
「でも、迷惑をかけることは淑女として、許し難いですわね。」
そういうと、いつも持ち歩く扇子をパッと開いて優美に扇ぐ姿は本当に女王。
「わー、麗様格好いいな!」
「いや、可愛いだろ!」
と、その姿をみている男子生徒たち。
「まあ、彼女にしたいと思う奴らいっぱいいんだろ?」
「だよなー、純粋に可愛いし。縦ロールってもパーマかけたみたいに、ふんわりしているみたいだしな…可愛いよな」
そう、口にした男子生徒はとある人物に攻撃をうけ即座にその口を閉じた。
「山中さん、ちょっと、いいかしら?」
「………な、なに?」
「殿方に、迷惑をかけることは淑女としてしてはいけないことですの。これからは行動に気をつけてくださいな」
「…は?なにが、いいたいんですか?」
「私、追いかけ回すよりも少し引いた方いいと思いますの。これからは少しひくことも心がけてくださいな。そうしたら、あれ?気があったんじゃ…と思った殿方がこちらに気を向けるようになりますわ」
そういうと、彼女は扇子で口もとを隠しながら去っていく。
「……いや、気のあるのは麗…お前だけだ…」
そう、ポツリとつぶやく青竜院雅人がそこには立っていた。
「はぁ…ほんと、心まで綺麗なやつはアイツしかいねぇーって。ほんと…可愛いやつ」
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