悪役お嬢様のハズだった
「麗、なにしてんの?」
「せ、青竜院様…」
ああ、どうしてかしら?
なぜ、かしら?
「なに、他の男に触られてんの?」
えーと、どういうことかしら?
「そ、そうですわね!青竜院様の私ですものね!」
うぬぼれ女、そうですわね!悪役お嬢様は、うぬぼれ女ですものね!おーほっほっ。
「そうだよ、俺の麗だよ」
あ、ら?方向性が違っていなくて?
私の望んでいる答えとは違いますわよ?
それに、なぜ、私の名前知っていますの?不思議ですわ。
「本性現れたな、青竜院。ずっと、見てたよな~」
「そうですね、見てましたわ。麗様を」
と、周りは呟いていたとは知らずに私はそれからというもの勉強の合間に悪役を演じ…いえ、ほとんどドジしてあらぬ方向へ行ってしまいましたが…演じていましたの。
しかし、今ではその
青竜院様…雅人様と結婚。雅誕生。
桃山香奈嬢とは、大親友なんて…!
どこで間違いましたの?
でも、
────雅ちゃんは、可愛いんですの。
流されて流されて、流されて結婚まで行き…
いえ、既成事実つくられてしまい。これが、雅ちゃんなのですが…。今では、いい思い出ですわ。
「次は、麗人が生まれないとな」
にやり、笑う旦那様こと雅人様。
まって、早いですわ!まだ、私心の準備が!
「麗ちゃーん!久しぶりですぅー!」
ドアをドーンと開け放ち入ってくる桃山香奈嬢。
「あら、香奈さん。ごきげんよう」
「ごきげんようぅー!麗ちゃーん充電っ!」
そう言って、私に抱きつく香奈さん。
「ッチ、余計なヤツがきた。これだから庶民は空気がよめないんだ」
なんか、嫌ですわ。
「雅人様、庶民などとは関係ありませんわ。一人の人間、一人の淑女、一人の殿方という世の摂理。階級など、私にとってはなくてよいものですの。香奈さんを悪くいわないでほしいですわ」
そう、つらつら言えば…
「ごめん、麗…でも、──離れろ!」
「い、いやですわぁぁあ」
香奈さんが、必死に拒否するあまり私の口調がでてしまってますわ。
「おい、んな口調でいっても無駄だ」
「いーやーよー!このこのこのっ!青竜院、離せぇ!」
グイグイ、香奈さんを引っ張る雅人様。まぁ、面白いこと。
「ふふふ、仲がよろしいこと。お続けになって?」
「…麗、本気?」
あら、どうしてかしら?冷気が充満して…しくりましたわ!
「ま、雅人様?」
「俺は、お前だけだ。女で、仲がよくしていたいのは。コイツは、邪魔者だ!」
「ひどっ!青竜院!私だって、麗ちゃんとラブラブしたいぃー」
「許さん、ラブラブなど俺だけでいい!」
ラブラブ似合ってませんわ、雅人様。
その後、雅人様の手によって追い出された香奈さん。
そして、私の身の危機。
「さ、麗人に出会うため頑張るぞ?──麗」
美味しく食べられました、とさ。
違いますわ、物語の終わり!
私は、悪役お嬢様のハズだったのですわ!
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雅人、いつ好きになったんでしょうね?
突然思いついたので、書いてみました。