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エピローグ
「オイ、夏!どこ行きやがったあの野郎!」
盗賊団もお縄となり、春一達は普段通りの生活に戻った。…はずなのだが。
「コラァ!出て来い夏!」
四季家では、春一が大声で喚き散らしていた。理由は、夏輝がいないからだ。
彼は普段、家事の全てを夏輝に任せている。一応春一も家事はこなせるのだが、料理以外は好きではない。
春一はこのままでは大学に遅れてしまうからと、何か朝食を作ろうと冷蔵庫を開けた。しかし、そこはもぬけのカラ。前回はあった牛乳やソース類まで綺麗になくなっている。まるで新しい冷蔵庫を買ってきたみたいだ。
「あんの根暗ぁ…!」
そもそも自分が彼に対してそう言ったことが原因なのだが、怒り心頭の春一にはそんなことを反省する思考などない。
「チックショー!」
春一が前回と同じように車で店まで食料を買いに行こうとした時、彼は異変に気が付いた。
「鍵がねぇ!」
いつも鍵が置いてある場所に、FCの鍵はおろかバイクの鍵すらない。あるのは家の鍵だけ。
「絶対殴る。絶対殴る」
春一は呪文のように唱えながら、身支度を整えて家を出た。徒歩で大学を目指す。遅刻をしたのは言うまでもない。
数珠市は、至って平和である。




