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倉庫に集まった四人に、盗賊団の残りの四人は皆息を詰まらせた。目の前にいるのは紛れもない、トランプだ。あの無敵で知られた伝説のトリオ。
「まぁ、人数は対等だけど、実力は違うわな」
春一の言葉で、盗賊団の中に一筋の怒りが走る。
「オイオイ、テメェー。言わしときゃ好きなだけ俺らんこと馬鹿にしてくれてるけどよ、この中には俺がいるってこと、忘れちゃいけねーぜ?」
ラッシーがずいと前に出る。その巨体が揺れて、恐竜のような重い足音が聞こえてきそうだ。
「おお、君は『ラード』だよな。その図体とパワーが能力の。通称ラッシー君だっけ?そのパワーを発揮して、バイクを車体ごと持ち上げて盗んでる。いくら鍵かけてあっても、車体ごと持ち上げられちゃ敵わねーよな」
「な、何でそれ知って!?」
「まぁ、こちとら君ら捕まえるためにそれなりにイイ情報屋使ってっからさ。でもね、情報屋も今回はちっと困ってた。何せ、ナンバー盗難の方が目立っちまって、他の盗みの情報が入りにくいってさ。お前らがナンバー盗んでんのは、そっちを目立たせることで、他の盗難事件を紛らせるため。罪を隠すなら罪の中ってか?しかもお前らは地球に優しいリサイクル盗賊団だから、そのナンバーを再利用しようと考えた」
そこで春一が右手を指し示す。そこには、溶接をする場所があった。そして、何枚かのナンバープレート。
「テンプラナンバー。ナンバーの数字が入ってない『・』の所をくりぬいて、そこに別のナンバーについていた数字をスポット溶接でくっつける。そうすれば、立派な偽造ナンバーの出来上がりだ。全く、やっていいリサイクルと悪いリサイクルがあんぞ」
自分達の悪事を全てばらされ、ぐうの音も出ない盗賊団の一員は、このままだと自分達の活路はないと思ったのか、それぞれ手に武器を持った。戦闘態勢である。ここでトランプを討てば、この悪事を警察にばらされる頃には自分達はこの街にいない。それに、ハクもつく。
「あれれ、もしかしてタダでは捕まってくれないの?じゃあ、ちっと痛い目見ることになるぜ?先に謝っとく。ゴメン、結構痛いと思う」
「ナメくさってんじゃねぇぞガキィ!」
春一は手に黄色い呪符を巻いて、拳を握りしめた。しかし向かってくるラッシーはそれにも怯まず、春一に向けて拳を振りかぶった。
「ラードの能力に欠点があるとすれば」
自分の顔面に振り下ろされた拳をいとも簡単に避けた春一は、バスケットボールのスピンのような動作でラッシーの背後に回り込んだ。
「その巨体、筋力故に動きが遅くなることだ」
「!」
振り返ったラッシーが春一を視認した刹那、春一のフックがラッシーの顎にクリーンヒットした。巨体がゆっくりと後ろに倒れ、大きな音を立ててラッシーが地に沈む。
「夏、コイツの両手を後ろに回して、お前の紐で縛っといてくれ」
「わかりました」
夏輝が春一に言われた通りにする。春一達はラッシーから残りの盗賊団に目を移した。
「今の見て戦意喪失した人は武器を置いて、ホールドアップ。そうでない人は、どうぞこちらへ」
春一の自信満々の笑みに気圧された残りのメンバーは、歯軋りをしながら武器を地面に捨てた。ラッシーの腕を縛り終えた夏輝が、残りのメンバーにも紐をかけた。
「さて、おやっさんと枢要院に報告だ。これで事件は無事終了。メデタシメデタシ」




