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次の日、春一達は再び大学で会った。今日は三人とも英語の講義があり、それに出席するべく教室で集合した。
「ハル、琉妃香、昨日会ったハーレーの人たちいただロ?」
会うなり、丈が開口一番言った。彼の顔から察するに何やら神妙な出来事があったらしい。春一と琉妃香は頷いた。
「ああ。それがどうかしたのか?」
「実はヨ、俺ん後輩がバイクのナンバー盗まれたらしくてよ。そいつはXJ乗ってんだけど、ナンバーだけドロンだってヨ。それだけじゃねー。他の後輩はバブ盗まれたらしーしよ。マジであるみたいなんだよ、バイクの盗難事件」
「マジかよ。バブ盗まれたんならそこらのゾッキーが持ってっただけかもしんねーけどよ、ペケジェーのナンバーがギられたってのは腑に落ちねぇな」
「だロ?」
「でも、変な話だよね。ナンバーって高く売れるの?」
「売れはしねーだろ。第一、一番アシが付きやすいもんだしよ。訳わかんねぇな」
「っト、ヤベェ。講義始まるゼ」
壇上に教授が現れたのを合図に、この話はとりあえず終わりになった。しかし、この話はこれで全て終わらなかった。その日の三限目、春一が統計学の講義を受けている時、彼の携帯電話が振動した。
(? 夢亜じゃねーか。どうしたんだ?)
情報屋の夢亜からメールが入ったのだ。いつもは春一の問いかけに応答がある夢亜だが、今日は珍しく彼の方から連絡をしてきた。ということは、枢要院から春一への依頼を彼が伝達してきたということだ。夢亜は春一と枢要院の橋渡し役である。
(なになに? 「現在数珠市で起きているバイク盗難事件に妖怪が関わっている。怪力を発揮する妖怪で、その能力を使ってバイクを車体ごと持ち上げて持ち去っている。枢要院はこれを解決するべく、春一に要請をした。それを伝える」か…。へぇ…妖怪が関わってんなら、指咥えてるわけには、いかねーな?)
春一は携帯から目を離し、講義の内容に耳を傾けた。その内に闘志を秘めながら。




