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年が明け、寒さが一番の厳しさを見せる頃。春一達が通う北神大学では、冬休みが明け今日から授業がスタートしていた。学年の後期も半分を過ぎた。学校にも授業のサボり方にもとうに慣れた一年生達は、それぞれ単位修得に向けて邁進していた。
「俺ら、去年の今頃は必死に受験勉強してたよな」
いつものように三人一緒に学食で昼食を取っている時、春一が言った。去年の今頃、彼らはこの北神大学に入るために猛勉強をしていた。国内最難関を誇るこの大学に合格するのは一握りの人間。その一握りに入るために、彼らは努力していた。何よりも、他の二人も行くのだから自分も、という想いが強かった。
「懐かしいナ。あれもう一年前かヨ。早ェ~」
「ま、あたしはそんなに勉強してないけどね。どっかの誰かさん達より成績良かったし」
「嫌味かコラ。小学校の時お前に分数の計算教えたの誰だと思ってる」
「いつの話だ!過去にこだわる男は嫌われるぞ、馬鹿ハル」
「あのな、俺は過去にこだわっちゃいねー。たまには後ろを振り返って自分の歩んできた道を見て……」
「はいはい、もうわかったよ、馬鹿ハル」
「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ」
「ハル、それ今時幼稚園児でも言わねーヨ」
過去話に花を咲かせ、談笑しながら昼食を食べる。そんな当たり前の日常が、あれだけの血のにじむような努力の上に築かれていることに、春一は満足だった。当たり前の日常とは、どんなものだって努力の上に成り立つものだ。
「なぁ、今日授業終わったらツーリング行こうぜ。近場周りに」
「さみぃヨー」
「丈のくせに根性なし。バイク乗りはいつだって風を切る生き物だろー」
「琉妃香がカッコイイこと言ってる」
「オットコ前だナ。お前本当に女カ?」
「黙るか黙らせられるか選べ」
「ゴメンナサイ」
いつものやり取りをしながら、ツーリングに行くことが決まった。




