2-6
「クライアントの話では、フレイムは以前人間と仕事をしていたことがあるようです。その人間というのが、今ハルが追っている平良大介のようですね」
夏輝は春一が帰宅するとすぐに、その話を持ち出した。当の春一は夏輝がプリントアウトした今回の依頼内容が書かれた紙を見ながらソファに寝転がっている。
「ふ~ん。うまい具合に噛みあっちゃったな。……わかった。平良の見張りは丈達に任せて、俺はこっちの件にかかろう。ボディガードか……。何かカッコイイな。黒いサングラスでも買うか?」
「ハル、遊びじゃないんですよ」
「わかってるって。さて、とりあえず夢亜にメールを送ろう。フレイムのことを聞かなきゃなぁ」
そう言って春一は反動をつけて起き上がり、テーブルの上にあるノートパソコンを立ち上げた。メールの送信相手は情報屋の夢亜である。
夢亜とは、春一の友人でもある情報屋だ。高校が一緒で、学年は夢亜の方が一年上だが、生徒会の仕事を一緒にしていたこともあり、結びつきは強い。そして何より、夢亜の情報を春一は信用している。夢亜の情報屋としての腕は一流で、プロの探偵や警察内部の人間からも依頼を受けることもあるほどだ。情報屋だが情に厚く、友人が困っているとあればすぐに助けるような人柄だ。妖怪のことを知っている数少ない人間で、枢要院からの依頼を春一に伝える役目も請け負っている。
春一がフレイムの情報を知りたいとの旨をメールで送ると、すぐに返信があった。いつでもすぐに返信をしてくるあたり、腕の良さがうかがえる。時々いつ寝ているのかと気になるが、以前その質問を夢亜にしたら、「情報がある限りオレは起きてる!」と言って笑っていた。それ以来尋ねることはしなくなった。
春一への返信は、以下のようなものだった。
「『よっ、久しぶり。元気にしてたか?お前から言われたフレイムのことだけどな、調べてみた。そもそも、フレイムって名前はその顔が知られていないから、掴めないもの、っていう意味でつけられた通り名だ。そんで、奴が行った犯行は、人殺しが三件、妖怪殺しが四件。人殺しの方は警察が調べてたが、迷宮入りになってる。まぁ、妖怪が関わってれば大抵は迷宮入りだよな。そんで、妖怪殺しの方。奴は、依頼があればどんな妖怪も殺した。武器は剣。かなりの使い手だ。気を付けろ。そして、フレイムは過去に人間と一緒に仕事をしていた。お前が今追ってる平良だな。平良と一緒に二回、殺しを行ってる。人間と妖怪、一人ずつだ。あと、これ重要。フレイムは、過去の車の事故で左手がうまく動かなくなってる。オレが調べたのはこれくらいだ。まぁ、がんばれ』だってさ。俺が平良追ってること知ってるなんて、さすがだな」
音読を終えると、春一はウィンドウを閉じた。
「とりあえず、明日依頼人に話を聞こう。それからだ」




