表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TRUMPⅣ  作者: 四季 華
第二章
12/31

2-4

「今日ハルの番ナ」

「わーってるって。俺今日はこれで終わりだから、行ってくるよ」

「いってらっしゃーい」

 丈と琉妃香にひらひらと手を振り、春一は大学の教室から出ていった。春一は午前の講義で今日のスケジュールは終わるため、藤に頼まれた事件の捜査へと繰り出した。

 今日で見張りを始めて二週間になる。春一達が通う北神大学から南に八キロほど行くと、一件のコーヒーショップがある。この地区に多いチェーン店で、遅くまで営業していることとリーズナブルな価格が人気の店だった。

 春一達は毎日交代でこの店に通った。今日は春一の番だ。

 春一は駐輪場に自らのバイクを停め、店内に入った。

「いらっしゃいませ」

 爽やかな若い男性の店員が笑顔で春一を迎えた。春一は窓際の禁煙席を選んで、そこに座った。ショルダーバッグから本を取り出し、テーブルに置く。ブレンドコーヒーを注文して、本を広げる。学術書だ。レポートに忙殺されるのではないかというくらい課題が多いので、いくら見張り中といっても勉強をしないわけにはいかない。

 春一は時折メモを取りつつ、その本を読み進めた。読み終わると、今度は要点をノートにまとめ、レポートの中心となる部分を書きだしていく。時計を見ると午後五時だった。レポートの芯に肉づけをしようかというとき、春一の目に一人の店員が映った。

 店員は三十歳前後くらいの外見で、中肉中背、これと言って特徴のない顔つきだった。黒いエプロンをかけ、客に対して丁寧な応対をする。笑顔を振りまき、機敏な動きで仕事をこなしていた。しかし、そんな彼こそ、藤が追っている指名手配犯だった。

 藤が追っている指名手配犯は、名を平良大介たいらだいすけという。五年前の強盗殺人の罪で全国指名手配になっている。顔は手配写真と変わっているから、整形したという藤の話は本当だろう。

 春一は勉強をしているふりをしながら、平良の様子を窺った。そして彼が水を注ぎに店内を回っている時を見計らって、手を上げた。

「はい、ただいま」

「ウインナーコーヒー、追加で」

「かしこまりました」

 一礼して去った平良は、やはりきびきびと仕事をこなしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ