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夕方六時、数珠警察署の裏にある喫茶店「ときのお」の一席には、不思議な面子が集まっていた。
どうみても不良としか思えない三人組、通称トランプと呼ばれる春一、丈、琉妃香に加えて頭に白いものが混じり始めている男性が一人。
「ご注文は?」
やってきたウェイトレスは、この不思議な組み合わせにもその笑顔を崩さずに、決まり文句を口にした。
「俺レモンスカッシュ。あとカレーライス」
春一よりも明るい茶髪で、右サイドに三本の黒いメッシュを入れている童顔の少年、七紀丈は、さも当たり前というように飲み物に加えて食べ物も注文した。
「あたしダージリンティーとナポリタン」
髪の毛全体を金色に染めた美少女の五木琉妃香は、丈と同じような注文をする。
「じゃあ俺ブラジルとハンバーグ。ライス大盛りで」
春一は二人よりも容赦のない注文をして、自分の前に座る藤に視線を移した。
「お前ら、俺はコーヒーをおごるって言ったんだぞ?何で当たり前のようにメシまで注文してるんだ?」
短くなった煙草を口に咥えながら、藤は額に浮かんだ血管をひくつかせて三人を睨んだ。三人はそんな藤の視線をひらりと躱して、ウェイトレスに注文は以上であることを告げる。
「あ、俺ブレンドコーヒー!」
テーブルから離れようとするウェイトレスに藤は何とか注文をして、煙草をもみ消しながら再び三人を睨んだ。
「いーじゃン。おやっさんはそんな小せぇ男じゃねーだロ?」
「そうそう。あたしが知ってるおやっさんは、あたし達が何頼もうと快くおごってくれる優しいおやっさんだよ」
「だってよ、おやっさん。良かったな」
「何も良くねぇ!」
「いや、リアルな話ガソリン代で今金ねーんだわ、俺」
「ガソリン代かよ!」
「おやっさん、馬鹿にしちゃいけねーって。最近ハイオク高いんだぜ?」
ふんと鼻を鳴らす藤に、春一は彼のライターを手で弄びながら、真面目な顔を覗かせた。
「で?何の厄介事よ?」
藤は核心に迫ることを前置きするためにごほんとひとつ咳払いをして、三人を見回した。




