プロローグ
TRUMPシリーズの4です。以前の物語を読んでいなくても楽しめる…はずですので、気楽にお読みください。※作中に出てくる妖怪は全て架空のものですので、予めご了承ください。
プロローグ
この世界には、妖怪が蔓延っている。
そう口々に伝えられたのは、今から何代前の人間達までだっただろう。
今や人は妖怪の存在など笑い飛ばす。いるはずない、と。
妖怪は非科学的であり、そんなものは遥か昔の人々が物事を円滑に解決するためにでっち上げたお伽話。
現代の人間達は、そう思っている。
だが、現実はそうではなかった。
この世界には、妖怪が蔓延っている。
それは紛れもない事実であり、避けられない現実だ。
しかし、それに気づいている人は少ない。人々は、自分達人間だけがこの世界を形成していると思っている。
そんな人間達に追いやられた妖怪達は、息の根を殺しながら、ひっそりと暮らしていた。
本来共存すべきはずの人間と妖怪。しかし、今それらはそれぞれの社会を形成していた。
一つの世界ができれば、そこに犯罪がのさばるのはある意味で当然のことだ。
妖怪達は、なるべく自衛に努めており、妖怪達のいざこざは自分達の世界の中で解決していた。妖怪世界の警察組織である「枢要院」がそれを担っている。
しかし、時として妖怪達は人間世界に踏み込み、そこで事件を起こす。そうなると、枢要院も自分が妖怪だけに動けない。
そこで活躍するのが、妖怪の存在を知っている人間だ。
その人間こそ、四季文房具店の副店主、四季春一であり、妖万屋だ。
彼らは、人間から持ち込まれた妖怪が起こした事件も取り扱う。つまり、人間と妖怪の橋渡し。それが彼の役目だった。
彼をサポートするのは、助手である夏輝、そして幼馴染の七紀丈と五木琉妃香、更には刑事の藤に情報屋の夢亜。
春一は、今日も人間と妖怪をつなぎとめるために、その狭間にその身を滑らせる。