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53話 帝都潜入

帝都が見える丘にはレジスタンスの中でも精鋭が50名近く揃い、乗馬した状態でオーガスタの命を待っている。


オーガスタも乗馬し、俺達も馬車に乗り込んだ状態で帝都の様子を伺う。


ふと、遠くから赤い煙が上がったと思ったら帝都の門から大量の騎兵が駆け出して行った。


「あの紋章は帝国の近衛騎士団・・・彼らが出てきたということは城の防備よりも前線の維持を優先させたと思われます。では予定通り、行きましょう。」


そう言うとオーガスタは槍を掲げる。


「この戦いに我々の未来はかかっています。なるべく早い制圧を目指します。時間をかければかけるほど前線では無実の兵士が死んでいきます。我々は民のために戦うのです、被害は少ないほど後の帝国の復興につながります。それでは行きましょう!!」


オーガスタは言い切ると馬を駆り先頭を走って北門に向かった。この門はレジスタンスの仲間が勤めており、事前に俺達が来たら通す手筈になっている。



門の中では見張りの兵士達が整列して待っていた。


「ついにこの時がきましたね。予定通り抜け道へ案内します、馬を預けてついて来て下さい」


兵士のリーダーらしき人が代表して頭を下げる。馬をその場で預け歩いて門の内側の裏道を進む。


しばらく進むと下水道らしき場所にたどり着いた。


「この下水道は城の中に繋がっています。ここなら誰にも見つからずに城内まで行けるはずです」


案内してきた兵士が説明すると一歩下がって頭を下げた。


「ありがとう、では手筈通り街中の要所を抑えてくれ」


オーガスタが兵士から地図を受け取ると下水道を進み始めた。


「アプリ、ユリ、明かりを頼む」


俺もオーガスタに続いて入る。後ろではアプリ達が明かりとりの魔術を唱え、下水道内がぼんやりと明るくなった。


「ここからはなるべく声をださずに行きましょう」




下水道内は意外に広く横に4~5人位は広がって歩ける幅の中央に下水の流れる水路がある。いざという時の避難路としての意味合いもあるらしく歩きやすく作られている。






しばらく無言で進み、何回か曲がり角を曲がった所で何だか嫌な気配が立ち込め始めた。


「何だか嫌な気配がしないか?」


近くを歩くマイトをつかまえ聞く。


「うん・・・兄貴これはヤバいかもしれない」


マイトは篭手を締め直している。


「オーガスタ、あとどれくらいだ?後ろから何かきてるみたいだ」


オーガスタに近づき地図を覗き込む。


「あと少しです、何かとは?」


「この感じは魔物だと思う。敵の召還術師じゃないか?」


オーガスタとヒソヒソ話しているとフェブが近づいてきた。


「ジャン、ここは俺が時間を稼ぐ、先に行け」


フェブはハンマーを片手で持ち後ろを伺う。後ろには制圧要員としての兵達がいる。


「俺が城まで行くより兵を無傷で城まで行くことが重要だ。時間さえ稼げばすぐ追いかけるから」


「・・・わかった。・・・死ぬなよフェブ」


フェブと拳をぶつけ合うと前進を再開した。


「私も付き合います」


ユリが杖を構えフェブと並ぶ。


「無理はするなよ、お前が死ぬところは見たくねぇ」


「私だって、フェブが死ぬのは嫌ですよ。大丈夫です2人なら」


「はははっ!違いねぇ。よしやるか!!」



2人からだいぶ離れ曲がり角を更に曲がると2人の声は聞こえなくなった。





しばらく進むと梯子が見つかりそこから城内に入った。


梯子を登った先は地下牢に繋がっていた。湿った空気がこもり、血とカビの匂いが立ちこめている。


オーガスタについて地下牢から出ると絨毯がしかれた広い廊下に出た。


「では、ここで散開します。皆さんは打ち合わせ通り兵舎と重鎮の部屋を抑えて下さい。ジャン達は私についてきて下さい。皇族を抑えます」


兵士と別れ、オーガスタに続いて階段を駆け上がる。


一気に三階駆け上がると今までより更に豪華な装飾が飾られた一角にたどり着いた。


「この階層に皇族の部屋が集まっています。とりあえず兄達を制圧しましょう。こちらです」


オーガスタは迷わず進みある豪華な扉の前で止まる。


「ここが第一皇子の部屋です。321で開けますよ。・・・3、2、1」


オーガスタが扉を開け、俺とマイトが飛び込む。


中には怪しい煙が立ち込め、狂乱の宴が繰り広げられていた。


中には裸の男達が何人もおり、紫色の煙が上がる煙管を吸っていたり、首輪をつけられた女性を抱いていたりする。


女性達は全員亜人(エルフや獣人、小人族までいる)で明らかに目に正気の光りが無い。


「ん?何だ貴様等?ここがどこかわかっているのか?」


虚ろな目をした太った男がこちらを見てくる。


この紫色の煙と独特の甘い香り、危険な麻薬として知られている『天国の誘い』だ。これは異常なまでの依存性と恍惚感、多幸感のため一度吸うと自力では二度と抜け出せ無い。またその毒性も高く、限界を超えるとある日突然心臓が止まり、恍惚とした表情のまま天国に召されるため『天国の誘い』という名がつけられた。


「兄君!?これは一体どうしたのですか!?」


中の様子を覗き込んだオーガスタが驚愕の表情を浮かべている。


「お前・・・誰だ?気安く大声をだすな。私を誰だと思っている、世界一の大国の時期皇帝なるぞ!!」


煙管をオーガスタに投げつけ、皇子が怒鳴る。


「すまんな、オーガスタ。こいつら黙らせるぞ・・・マイト」


マイトと頷きあうと一気に男達を殴って気絶させた。




その後、男達を部屋にあった縄や鎖、手錠を利用して拘束すると首輪をつけられていた女性達を解放する。



「薬は中和薬と時間をかけないとどうしようもないな・・・行くぞオーガスタ、皇帝を抑えてさっさとこの戦いを終わらせよう」


「・・・はい。行きましょう」


うつむき縛られた皇子を見ていたオーガスタは吹っ切ったように頷くと部屋を出た。


「今の部屋に捕まえておきたかった若手貴族や皇族は全員捕まえました。このまま皇帝の私室を目指しましょう」


廊下を真っ直ぐ進むと特段に豪華な扉があった。


「ではまた321で開けますよ。・・・3、2、1」


オーガスタが扉を開けた瞬間中から魔術が飛んできた。


「ちっ!!」


とっさに剣を引き抜き飛んできた火球を切り裂く。


扉の向こうを見ると魔術書を輝かせながらこちらに手を向ける黒髪の女性が3人立っている。


「魔女だと!?なぜ帝国に魔女が・・・」


俺の驚愕に更に奥から現れたローブ姿の老人が答えた。


「フッフッフッ・・・どうだ私の研究の成果は?魔女を拷問により心を壊すことで禁書の魔力源として有効利用したのだ」


老人は実に楽しそうに手を広げ笑っている。


「ではお前達こいつらを仕留めておきなさい」


老人はそう言い残すと部屋の奥の扉から出て行った。


「兄貴・・・ここはオイラ達で抑えるからあいつを追ってくれ」


マイトとジュネが武器を構えて魔女達を睨む。


「・・・無理はするなよ。行くぞオーガスタ、アプリ」


おそらくあの男は皇帝の元へ向かったと思われるためオーガスタも頷く。


「行くぞ!!」


「解放・爆発小」


マイトが篭手の魔力カートリッジを小規模解放し粉塵を巻き上げる。


煙に紛れて魔女の横を駆け抜けると男を追った。



いつも拙作をお読みいただきありがとうございます

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