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34話 禁書

ギルドに到着した俺達はさっそく受付に向かった。


「すみません、養成所2年のジャン・アークです。以前探索許可をいただいた初級者用ダンジョンの異常事態についての報告に来ました」


受付の女性にギルドプレートを見せながら話しかける。


「はいはい。ジャン・アークさん・・・え~とランクDのダンジョン『ジアンビ坑道跡1』ですね。

それでどうしました?ランプが故障でもしましたか?」


「バジリスクの大量発生です」


「はいはい、バジリスクね。

・・・バジリスク!?見間違いじゃないんですか?このあたりにバジリスクは生息していないはずですよ」


明らかにこちらを信じてない声音で聞き返してきた。


「いえ、確かにバジリスクでした確認できただけで20匹くらいいましたね。

一応証拠のバジリスクの牙です、最初に襲ってきた3匹分しかありませんが、確認してください」


受付のテーブルの上に回収しておいた牙の入った袋を載せた。


「・・・確かにバジリスクの牙ですが、そもそもバジリスクはあなた達学生に倒せるような魔物じゃありませんよ。

こんな物まで用意して・・・」


「私達が嘘をついていると言うんですか!?」


「アプリ落ち着け・・・信用してもらえないなら別に構いません。報告義務は果たしましたから」


受付の上の袋を掴むと入り口に向かった。


「まあまあ待ちたまえ、ジャン」


「ギルドマスター?」


急に後ろから声をかけられ振り向くとさっきまでいなかったはずのギルドマスターが立っていた。


「先入観でものを言っては駄目だよ?

このジャン・アークは個人の戦闘力ならすでにB級に届いているんだ。

どれ、ちょっとそのダンジョンまで案内してくれないかジャン。私が見てこよう」



「ギルドマスター直々にですか?」


「ああ、私の予感が正しければかなり面倒な事態だと思うのだよ。

さあ、行こうか」




ギルドマスターを伴ってダンジョンまで戻るとユリとフェブが結界石を設置していた。


「ご苦労様、どれどれ・・・確かにバジリスクだな。

しかしこの発生量は、やはり禁書か・・・」


「禁書?」


「すまないが私が中に入るから一度結界を解除してくれないか?」


俺が聞き返したのを無視してギルドマスターはフェブに話しかけている。


「すみません、俺もついて行っていいですか?」


「ついてこられるならついて来たまえ、じゃあお願いするよ」


「わかりました。カウントします。3、2、1 解除します」


フェブが結界石を外した瞬間溢れ出したバジリスクにギルドマスターは衝撃波を放ちダンジョンの奥に弾き飛ばした。


「では行こうか」


ギルドマスターはダンジョンの奥へ向かって歩き出す。


俺もすぐに後をついていった。


「待てよジャン。これもって行け」


フェブが剣を一振り投げてきた。


「ドラゴンキラーだ。持ってけ」


「ありがたい、行ってくる」


「ジャン、気をつけて」


アプリに手を振りながら走ってギルドマスターを追いかけた。




すぐに追いついたギルドマスターはバジリスクに黒炎を放ち焼き払っていた。


「バジリスクたち亜竜のウロコは竜ほど熱に強くない。

黒炎なら焼き付くせる。あとでアプリちゃんと言ったかな?教えてあげたまえ」




それからもギルドマスターの手によって軽々とバジリスクを殲滅しながら進んでいった。






再び奥の広いドーム状の所にたどり着いた。


「さてそろそろ原因に行き当たるかな?」



ギルドマスターが呟いた瞬間目の前に魔法陣が出現し、巨大な龍が召還された。


「ほう、中級の火龍かなかなかでかいな・・・ジャン、手伝ってくれないか?」


「わかりました。早くしないと私が仕留めてしまいますよ」


ドラゴンキラーを引き抜き構える。

鞘から抜かれたドラゴンキラーの刀身は赤い片刃で長さが120cmほどある。



体勢を落とし一気に距離を詰める。


途中火龍から吐き出された炎を腰の黒剣を引き抜き切り裂く。

接近し火龍の右前足をドラゴンキラーで斬る。


「簡単にウロコが斬れるな・・・これは楽チンだ」



前足が切られバランスを崩した火龍の股下をくぐり抜け後ろ足を斬る。


怒り狂い振り回される尻尾をジャンプしてかわす。かわしざまに尻尾を切り落とす。


「ジャン、離れろ。『グランフォール』」


着地と同時にバックステップで距離を取る。


ギルドマスターの放った重力魔術の最上位魔術によって火龍は一気に押しつぶされた。


「別に私の助けは必要無かったかな?」


「いえいえ、決定打に欠けていたので助かりましたよ」


2人で更に奥に進むとそこにはマセラティの変わり果てた姿があった。

手元には怪しく光る魔導書があり、マセラティ自身は干からびている。


「これが禁書だ。禁忌の魔術を秘めており、一度手にもつと魔力を持つものなら全て意識を奪われ、魔導書の魔力源になりはてる。そしてやがて魔力が枯渇し、死に至る」


「これが・・・禁書」


「さてジャン、私が持つと私まで乗っ取られかねんからね。黒剣で切り裂いてもらえるかね」


「わかりました」


黒剣で魔導書を切り裂くと最後の力を振り絞るように強く明滅し、光が消えると同時にボロボロの灰になった。


「さて、これで終わりだ。帰ろうか」


ギルドマスターが指を鳴らすといきなり転移魔術が発動しダンジョンの入り口に転移した。


「では、私は帰るよ。これからも精進してくれ」


ギルドマスターはそう言うと気配もなく消えた。


「ただいま、みんな。もう終わったから結界解いていいぞ」


「お帰りなさい、ジャン。怪我はありませんか?」


「ああ、平気だよアプリ。ほとんどギルドマスターがやったしな」


「よし、結界解除完了。さて帰るか」


「そうですね帰りましょう」




それから寮に4人で帰りながら禁書についての説明をした。



いつも拙作をお読みいただきありがとうございます

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