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英雄殺しの勇者  作者: 紀春


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24/30

四人パーティ

街道の調査を開始しして二日目の朝を迎えた。

ニコはセレナを連れ立って辺境伯のテントから出ると


「セレナ。わかってるね?ちゃんと僕の指示を聞くこと。そうしないと君が危ないんだから」

「はい。ニコ様のおっしゃることに間違いなどあろうはずがありませんわ」

「そういう妄信的なやつじゃなくて」

「私を守ってくださいね。ニコ様」

「守るけど!そうじゃなくて」

 

そんなやり取りをしながら仲良く(?)二人は辺境伯のテントを出て半月(ハーフムーン)のテントへと向かった。

二人揃ってテントから出てきたせいで周囲の冒険者に少し注目されるが、彼らの注目を集めるまでにはいかないようだった。


半月(ハーフムーン)のテントの方へ向かうと、ライズには男性冒険者が、アスラには女性冒険者が群がりそれぞれ質問攻めにあっているようだった。


「何だかお二人とも人気なんですね」

「人気なのかな……?」


おそらく昨日のことで冒険者からの質問攻めにあっている二人を見てニコとセレナはそれぞれ違った感想を抱くのだった。


その騒ぎもロナルド辺境伯がテントから出たことに冒険者達が気がつくと、一斉に散らばり。各々の場所の調査を始めていくのだった。


「なあ婿殿?何があったんだ?ライズ殿とアスラ殿が冒険者たちに」

「あーたぶん兄貴達は実力者なんでそういうあれだと思います」

「なるほど、だがそれなら婿殿も」

「えー僕にはセレナがいますから」

「そうかそうか」


騒ぎを見ていたロナルドに呼ばれ詳細を聞かれるも、

まさかテントの中で()()()()()()()を正直に話すわけにもいかず適当に誤魔化したところ余計な話をしてしまったが、とりあえず誤魔化すことはできただろう。とりあえず婿殿と呼ばれていることはもはや気にしてはいけないことなのだろう。いつライズたちにこの事がバレてからかわれるのかとニコは戦々恐々とするのだった。


その後ニコとセレナはライズ達に合流すると昨日同様に森の中の調査を開始していく、やはりと言うべきか出てくる魔物たちは強力な魔物たちが多く、特に飛竜と呼ばれる空を飛び回る小型のドラゴン(と言ってもライズ達が乗っていた馬車ほどはある)は苦戦をした。


「降りてこい!クソトカゲ!」


ライズが咆哮を上げて挑発をするも飛竜は地上で戦うのを良しとせず、咆哮を上げると己の翼を使い突風を巻き起こす。

ライズが大盾を構えパーティメンバーの盾となるものの、いくら大盾と言えど全員を守ることはできない。

風自体は魔法ではなく、自然現象(とは言っても相当な風量)のため身体を切り刻まれるということはないが、体重の軽いセレナはニコの後ろに隠れつつも飛ばされそうになるのを自身の杖を地面に突き立てて凌ぐ。


そんな地上の生物たちに対し、風では効果がないと悟った飛竜は今度は口を大きく開けると炎のブレスを吐こうと口の中に火を集めていく。

しかし、そのように悠長なことをニコは許さなかった。自身の大きな鞄から一つ何かを飛竜の口へと放り投げる。その軌道は正確で、ブレスを溜めるために空中で静止していた飛竜の口の中へと正確に吸い込まれていき、ためていたブレスに反応して飛竜の顔面が炎に包まれる。

油に浸した布を石に巻いて作った本来松明として使う用途のものを使った簡易投石だったが飛竜の動きを封じるには十分だった。

 

自身のブレスによって炎に包まれ混乱した飛竜が制御を不能になったブレスの残滓が、地上に振り注いで行く。一点ではなく様々な場所に落ちていく。だが、そこはパーティの要であるライズが大盾を巧みにさばき全てを防いで行く。


「そこですわ!」


初手の暴風で吹き飛ばされそうになってから戦況を見守っていたセレナが杖を向けると、自身の顔面が燃えていることに集中していた飛竜が制御を失って地上へと落下してくる。彼女の風の魔法で、飛竜の空中制御を乱したのだ。   


「何だかいいとこ取りのような気がするが、決める!」


アスラは己の剣を白銀に染め、何故地上へ落下しているのかまだ状況が飲み込めていない飛竜の首めがけて一閃する。この戦いの序盤からためていた魔力を注ぎ込んだその一撃はいかに飛竜と言えど耐えうることはできない。あっという間に胴体から首が分かれアスラの剣速そのままにどこかへと飛んでいった。


まさに新生半月(ハーフムーン)にふさわしい初陣だった。

 

どこかへ飛んでいった飛竜の首はともかく、胴体部分は貴重な素材や、食料になるため、全員で各々の手柄を称え合いながら和やかに手分けして必要な部分を取得していくと、気づけば日は傾き始めていた。


彼らは素材を手分けして持ち四人並んで辺境伯の待つ本陣へと和気あいあいとしながら戻るのだった。


おまけ


時刻は今日の朝。


目を覚ましアスラがテントから出ると、こちらを見つめていた女性冒険者たちが一斉に集まってくる。

中でもより扇情的な見た目をした二人組の冒険者の熱量はすごかった。


「ねえ!アスラさん。昨日テントの中で()をしてたの?」

「あの大盾のライズさん。最近かっこよくなってるし、そういうことなの?きゃー!」


そんな彼女たちに押されつつもアスラは自嘲気味に答える。


「昨日ライズが狼になってしまって……その。たくさん……」

「ライズさん!そんな積極的なの!?」

「お堅そうに見えてやるときはやるね!」


さすがのアスラも何か様子がおかしいような気もするが狼になったライズを思い出し、次の言葉が出ず。

そのまま「ライズが狼になった」だけが一人歩きしていった。


しばらくしてテントを出たライズは周りの冒険者から


「やるじゃねえか」「見直したぞ」「羨ましい」「爆発しろ!」


などと言われ自身の昨日の行いを思い出し何も言えなくなり、ただひたすら冒険者からの言葉を浴び続けていくのだった。


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