美味しい(?)パスタ作ったお前
再び目を覚ましたアスラの眼前には自分を優しく抱きとめながら眠るライズの顔があった。
………何故だ?
寝起きではっきりとしない思考を全力で回す。すると今朝のみっともなく泣きながらライズにすがる自分を思い出した。
思わず赤面しながら
(なっ…!何ということだ…)と動揺しつつも、この状況に不思議と安らぎのようなものを覚えていることにも気づく。
「まったく変なやつだとは思っていたが、つくづく変なやつだな。」
自分でも言ってておかしくなるが本当に不思議な人だとライズを見て思う。
「まあ仕方がない。少し飯でも作ってやるか。病人食わねば死ぬだけだしな」
そう言って気を取り直したアスラは名残惜しみながらも一度部屋を後にした。
アスラが部屋を出てしばらくするとようやくライズが目を覚ます。先ほど目を覚ましたときには皆いたはずだか、今は誰もいない。
案外冷たいやつらだなと思っていると、突然扉が開き大鍋が湯気を立てて入ってきた。
目覚めて間もないライズは、誰もいないからって飯が勝手にやってくることなんてあるんだな。と呑気なことを考えていたが。その思考をキラキラとした目でアスラが遮ってきた。
「ライズ起きたか。飯だぞ」
「アスラ?その鍋は?」
「パスタだ!」
「は?」
「パスタだ!二度も言わせるな!」
何故パスタなんだ?そう聞いたはずが怒られてしまった。というか作ったのか?
疑問が次々と浮かんでくる。が、とりあえず自分のためなのだと分かると
「あーありがとな。意外と優しいとこあるじゃねーか」
と感謝の言葉を口にする。
その言葉に目を輝かせながら
「パスタというのはだな。手軽に作れて栄養価もそこそこ高い。訓練の時には重宝したのだ」
と解説をしながら胸を張っている。
そんなアスラを見て料理とかできるんだなと失礼な感想を持ちつつ、自身の両手に目をやる。その包帯で覆われた両手を。
「あのなアスラ……?その作ってくれたのはめちゃくちゃありがたい。だがな……俺は今この状態なんだ」
そう言って自身の両手を上に上げる。
「それは……すまなかった。その傷はもともと私のせいだ。問題ない。私が貴公の腕となろう。ライズそっちへ寄れ」
そう言ってライズを少し寄せるとベッドに横並びで座ってくる。まるで当然かのように。
「いや待て待て、さすがにそれは申し訳ない」
「貴様!私が作ったパスタを食べないというのか!」
「いや、そうじゃなくて……」
「何も遠慮することはない。貴公は怪我人なのだぞ?な?」
そう優しく微笑み、パスタを掬って彼の目の前に持ってくる。ふーっふーっと彼女が息をかけている姿を見て思わずライズも顔を赤くする。
「どうぞ?」
と不安そうにこちらを見ながらパスタを差し出す彼女はもはやただの少女のようだった。
口に入れても正直味なんてわからなかった。だが少し眉毛を下げてこちらを見ている彼女を見て
「美味い!美味いぞ!」
そう言うと彼女の表情に花が咲く。
そんな表情に思わず心臓が跳ねる。
その後も何度もおかわりを求め、アスラからパスタを貰っていく。
それはパスタを食べたかったのかそれとも違う理由なのかライズには判断がつかなかった。
時折少しこぼしたり、上手く絡まらなかったりと多少のハプニングはありながらも、ライズにとっては久方ぶりの心温まる時間を過ごしたのだった。
朝方部屋を抜け出したニコが戻ってくる。早めに抜けて一度汗を流した彼は医務室へと続く廊下にやってきた。
さて、二人は起きてるのかな。と備え付けの窓から中を覗くと、仲睦まじくパスタを食べさせ、食べさせられてる二人組が見えた。
あれ?部屋を間違えたかな。と道を引き返そうとして、再度窓の中を覗く。
(えっ!?)
そこにはライズもアスラも互いに顔を赤く染め、パスタをアスラがライズにあーんとしているんだな。とようやく脳で理解できた。
だから!展開が早すぎんだよーーーー!
思わず叫びながら部屋の前で立ち尽くすしかないニコであった。
この物語を書く際にAIにこんな話どうかな?など音声認識で会話していると、たまに変な変換になることがあります。たいていは文脈で理解してくれます。
ある時、アスラをパスタと認識され、それ以後どんな相談をしてもパスタを出してくるAIに向けて書いた場面です。
「美味しいパスタ作ったお前」は純恋歌ですから、この物語も純恋です。




