そらまめのそらもよう 〜episode16 寝袋〜
ある朝、そらまめが、
さやのドアから外へ出ると、
目の前に、黒くて少し丸くふくらんだ、
長いものが、木の枝からぶら下がっていました。
そらまめは、それを見て、ピピッとひらめきました。
そらまめは、ボクサーのように両手をグーにして、ステップをふむと、
黒いものに向かって、パンパンパンッ、
とパンチをくりだしました。
すると、その黒いものの上の方から、ヌッと何かが顔を出しました。
みのむしでした。
みのむしは、プンプン怒った顔をして、
そらまめに抗議をしている様子です。
そらまめは、なにかが入っているなんて思わなかったので、びっくりして、
ペコリペコリと、頭を下げてあやまりました。
黒くて丸くて長いものは、みのむしの寝ぶくろだったのです。
そらまめは、またピピッとひらめきました。
そして、どこからかススキの穂を引きずってくると、
体にぐるぐると巻きはじめました。
体全体がすっぽりと入るようになったら、
一度ススキの穂から抜け出して、ほどけないようにぎゅっとしばり、
穂の先を枝に結びつけました。
ススキの寝ぶくろの完成です。
そらまめは、さっそく中に入って寝ごこちをたしかめました。
ぶらーんとぶら下がったススキの寝ぶくろの中は、
なかなかあったかくて、いい感じでした。
そらまめの様子を、
横でずっと見ていたみのむしは、
あきれたような顔をして、
スルスルと寝床へもぐって行きました。
ススキの中でぶらぶらしながら、
そらまめは、またもやピピッとひらめきました。
またいくつかススキの穂を集めてきて、
寝ぶくろを3つ作り、枝にならべてぶらさげました。
それから、えんどう豆3つぶをよんできました。
そらまめは、まず自分の寝ぶくろに入って、
見本を見せました。
するとえんどう豆たちは、喜んで3つの寝ぶくろへ、それぞれもぐりこみました。
ブランブラン ブランブラン
みのむしの横で、ススキの寝ぶくろが4つ
風にゆられています。
どこかでススキの穂の寝ぶくろが
ぶらさがっているのを見つけたら、
豆たちが眠っているかもしれないから、
そっとしておいてあげてね。




