表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/3

【後編】神さま、「怪談」になる

 更新で~す

 長らくお待たせしました m(_ _)m



 ◇


 音を立てぬよう気をつけながら、“保健室”の扉をすり抜ける。

 出た先にも、白い壁と天井(てんじょう)は続いていた。


 廊下(ろうか)が長い。子供が増えたんだなぁ……



 人の気配はない。

 よし、じゃあ地図を……



 ◇


 廊下を歩き、階段を上って、“図書室”という部屋に来た。

 途中、廊下の窓から外が見えた。100年前基準だと、「変わり果てた景色」だった。


 人間、山切り開きすぎ…………



 ……と、いうわけで。

 まずここで探すのは、“2万分の1地形図”という地図だ。


 地形すら変わっているなら、半端(はんぱ)(しゅく)(しゃく)ではダメだ。大きな地図で比べる必要がある。

 淀川(よどがわ)とか生駒(いこま)山とか、人の手では変えにくい地形を基準にしながら。


 そこで使えるのが、2万分の1地形図。

 私でも見たことがあるくらい、数多く()られた地図だ。しかも国が作っているから、精度も高い。


 これだ。これの最新版と100年前のを比べればいい……!



 えぇと、地図の(たな)はこれか。じゃあ2万分の1……



 2万分の1……



 ◇


 あれ? ない……。

 ()わりに出てきたのは“2万5千分の1地形図”だ。

 (ちゅう)()半端だなぁ。比べるのが面倒(めんどう)じゃないか……。


と思ったら、100年前のも今のもあった。めちゃくちゃ充実した品揃(しなぞろ)えだ。

 というか国、いつの間に方針変えたの? 2万分の1で揃えるんじゃなかったの…… ??



 さておき、100年前と今を比べると。

 この小学校、どうもあのお屋敷(やしき)跡地(あとち)に建っているらしい。


 ……うん。××さん()の前の坂がここで、川の合流点(ごうりゅうてん)がそこだから……間違いない。



 あと、地名もがらりと変わっている。

 この(あた)りは「○○(むら)」で、お隣が「□□(ちょう)」だったはず。なのに両方、「□□()」になっている。



 100年の間に変わり過ぎだ。一体、何があったんだ……



 まぁいいか、次はどうしよう? ……などと考えていたところで。

 廊下から、よく通る(くつ)の音が聞こえてきた。


 誰か来る。宿直(しゅくちょく)というやつだろうか?



 ……などと言っている場合じゃない!

 マズい、見つかったら面倒だ。でももう片付けても間に合わない、音でバレる。


 仕方ない、隠れてやり過ごそう。せめて霊感のない人でありますように……


「図書準備室、ヨシ!」


 靴音が途切(とぎ)れた……と思ったら、はきはきした男の声がする。

 指差(しさ)喚呼(かんこ)か。やはり宿直のようだ。


 そして靴音が大きくなり、ついに(ドア)の前で止まる。


「図書室、ヨシ!」


 音が離れていく。良かった……


「ん? 今光った……!」


 し ま っ た !

 靴音が戻ってくる。どうやら油断して、後光(ごこう)()らしてしまったようだ。


 というか、力の戻りが早い。もう後光が出せるのか、私は……



 ◆


 そういえば、昔誰かに聞いたっけ。


土地(とち)(がみ)の実力は、その地に出入りする人数で決まる。信者の数ではない」


 誰とは言わぬ、“関東の(だい)(しゅう)(ちょう)さま”の例が、分かりやすいだろう。

 ()の地は今や、帝都(ていと)東京の都心。日々、何十万もの人々が出入りする土地柄だ。


 彼の首塚(くびづか)に手を出せば(たた)りが……というのも納得できる。



 ◇


 だとしたらここ、何人出入りしているんだ?


 ……そんな疑問は一瞬で吹っ飛んだ。



 カギが外れ、扉が開く音がする。

 あと、こちらへ駆け寄ってくる足音も。


「何だこれは……なぜ地図が?」


 電灯と(おぼ)しき、しかし強い光が、辺りを()め回す。


「誰もいないよな。しまい忘れか? ……戻しておくか」


 とりあえず、見つからずに済んだようだ。

 だが地図は没収されてしまったし、しばらく動けなくなった。


()(じょう)ヨシ!」


 男が部屋を出て、カギを閉めた後。歩いていく音が聞こえなくなって、ようやく私は一息ついた。



 ◇


 翌朝(よくあさ)。私は校舎の屋上にいた。

 誰も来ないから……と(くつろ)いでいたら、下から大きな声が聞こえてきた。


「わたし見たもん! 車から、図書室光ったの !! 」

「「(ウッソ)だぁ~」」

本当(ホント)だもん!」


 ………

 ……

 …



 あちゃー、見られてたか…………



 後日、この小学校の「(なな)不思議(ふしぎ)」の最後に、私の後光が仲間入りしたと聞いた。



 どうも皆さん、神です。

――――いや大丈夫、怖くないよ!



 以上で(しめ)となります。

 お読みいただき、ありがとうございました~ m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ