第3話:「属性判定」
〜前回のあらすじ〜
見知らぬ病室で目を覚ました主人公。
どうやら、誰かが自分を介抱してくれた模様。
状況の整理が出来ずにいると、自分を治療したであろう女性に出会う。
彼女と話しているうちに、昨夜の大男の事を思い出す。
男の居場所を聞き出し、自分が何者かを確かめる為、男の場所へと向かう。
男は自分を『この国の王』だと言う。
半信半疑のまま、男に連れていかれた場所は…
視界が移り変わる。
身体が浮いている様な感覚だ。
あたふたしている俺を横目に
大男は当然の事の様に佇む。
やはり、この世界の移動手段は
全てこの"円盤"なのだろう。
そんな事を考えていると
"とある部屋"についた。
そこは、小さくて薄暗い部屋だった。
机があってその上には
ガラスの玉…水晶があり
4人の男が居た。
1:3の形で3人側は座っていた。
座っている奴は皆、少年の様な童顔だ
どうやら、1人側の男が何かを
3人の少年に教えている所に遭遇したらしい。
こちら気付いたのか
話していた男がこちらを向いた。
レイ
「あれ、ギアさん。
どうかしたんですか?」
ギア
「レイ、今始まった所か?」
レイ
「えぇ、まずは属性判定から…」
ギア
「そうか、すまんが追加で
こいつの面倒も見てやってくれ」
そう言うと、大男は俺の事を
無造作に4人の前に投げ飛ばした。
咄嗟の事に驚き、受身が取れず
思い切り頭を打った。
「おい!いてぇな!おっさん!!」
レイ
「おぉ、キングを
おっさん呼ばわりかよ。
何なんですか?こいつ。」
ギア
「昨夜の少年だ。」
レイ
「…あぁ…こいつが。」
''レイ"と呼ばれていた男は
何故か俺の方を睨んできた。
…めちゃくちゃ睨んで来ている。
何故だ?
恨まれるような事をした覚えはない。
いや、そもそも記憶が
無いのだけれども。
何だか舐められてる気がして
イライラしてきた。
ー何か分からんが睨み返そうー
俺は負けじと男を睨んだ。
暫くそうしていると
男は溜息を吐き、こちらへ歩いてきた。
「な、何だよ!やるってのか!?」
…男は俺を無視して
後ろに居た大男の方へと向かった。
そこから何やらヒソヒソと話をしていた。
こちらには聞こえないように。
何故か無性に腹立たしい。
言いたい事があるなら
ハッキリ言えばいいのに…
???
「あの、はじめまして!
君も新人なの?」
急に、座っていた3人のうちの
1人が話しかけてきた。
元気で明るい感じの少年だ。
俺と同い年くらいだろうか。
他の2人も同い年くらいだが
話しかけてきた子とは違って
静かな子と、モジモジして
緊張している子が居る。
…ん?待てよ?新人?
新人ってなんの新人だ??
「新人?なんだそれ。」
俺はとりあえず、疑問に思った事を
そのまま聞いてみる事にした。
元気な少年
「え?僕もよく分からないけど
あの人が僕らを"新人"だって言ってたよ!
さっき、ちょっとだけ
説明してもらってたんだけど…」
「へー…」
そっか、この少年も自分が何者か分からないのか…
確か『此処に来る者は記憶が無い』
って言ってた気がする…
この3人全員がそうなのか?
記憶がない少年を集めて
何かの"新人"として扱う。
…ん?んで、何するんだ?
元気な少年
「あれ?…おーい、大丈夫?」
「え? あ、あぁ…」
少年と話しているうちに
おっさんと、睨んできた男の話が終わった。
おっさんの方は入ってきた所から出ていき
男はまた溜息を吐いて、こちらに戻ってきた。
レイ
「くそっ…なんで俺が…
ゴホンッ…えー…待たせたな。
さっき途中まで話したけど
新しい奴が来たから
もっかい、1から話すぞー」
1から話す?
とりあえず、今は何も分からない俺にとって
少しでも情報が欲しかった。
この偉そうな男に教えられるのは癪だが
素直に話を聞く事にした。
レイ
「さっきも言ったけど
お前達は"新人"だ。
これからやる事と、俺の言う事は
しっかり聞いとけよ。」
とうとう始まる…
…緊張しながら唾を飲み込んだ。
レイ
「お前らはこの国の"兵士"になって
他国との戦争に勝つ駒となる。
…まぁ、合格出来たら
そこは詳しく教えてやるよ。」
戦争…?戦争をするのか?
何のために??
ってか、さっきおっさんが言ってた
『闘い』ってこれの事か?
レイ
「…兎に角、兵士になる為には
"試験"を受けて貰う必要がある。
試験日は7日後だ。
時間がねぇから頑張れよ。」
猶予は1週間か…大丈夫なのかな?
そう思ってるのは、俺だけじゃないようで
隣で座っていた元気な少年も
心配そうな声をあげた。
元気な少年
「え…たった7日で大丈夫ですか?」
レイ
「心配すんな。
最初の1週間は付きっきりで
サポートしてやるよ。
ただ、試験に受からなかったら
そこからは自力で、受かるまで
自己特訓をしてもらう。
ま、試験つっても
そんな難しいもんじゃねぇよ。」
元気な少年
「は、はい…」
レイ
「そんで、話戻るけど
今から教えんのは、闘う時に使う"技"と
"属性について"だ。
お前ら3人は2回目だけど
ちゃんと聞いとけよー」
「属性」や「技」か…
この世界ではそれが
当たり前っぽいもんな。
…ってか俺も使えるって事なのか?
レイ
「まずは『属性』だ。
基本中の基本。属性には…
『火』『水』『樹』『鋼』『武』
『風』『雷』『地』『獣』『癒』
全部で10個ある。
一般的には1人1つ
どれかの属性を持って産まれてくる。
そして稀に2つ以上持って
産まれるやつもいる。
ま、そんな事あんまりねぇから
期待しないようにな。」
基本属性が10個か…
覚えといた方がいいよな。
レイ
「そして、次に『技』だ。
全ての属性は、共通して『技』を用いる。
自分の適正と合っていない属性の技は
使う事ができない。
ここまではさっき3人に話したな?」
3人は真剣に話を聞き
コクコクと頷いている。
「要するに…
"自分に合ってる属性を知って
それに応じた技を覚えろ"って事だろ?」
レイ
「へぇ、顔に似合わず
意外と賢いんだな。」
顔に似合わず??
それってバカに見えるって事か?
ほんとに、いちいち癇に障るに触る男だ。
レイ
「まぁ、概ねこいつの言った通りだ。
さて、そして『属性』だが
"どうやって分かるのか"
という疑問があるだろう。
諸君らも、自分の属性はなんなのか。
興味があるんじゃないか?」
…確かに興味ある。
俺にも『属性』ってのがあるって事か?
人が産まれ持つ潜在能力的な?
何だろう…すっげぇ気になる…!
レイ
「今からこの水晶に触ってもらう。
こいつが示した色が、そいつの属性だ。」
満を持してと言うべきか
ようやく机の上の水晶に
皆が視線を送った。
水晶を触っただけで属性がわかる?
…いや、瞬間移動する円盤があるくらいだ。
驚きはしない。
レイ
「よしっ、焦らしても仕方ない。
とりあえず順番に触りに来い。
さっき決めた"名前順"だ。
後、お前は"ヨン"な。」
男は俺の方を指さした。
「は?なんで俺が4なんだよ?」
レイ
「俺から見て左から数えた。
それにお前、後から来たし。
お前ら、まだ名前ないから
仮名があった方がわかりやすいだろ。」
「はぁ?理由になってねえよ。
どうせなら"ゼロ"とかに…」
レイ
「黙れっ!!!!」
急に男が声を荒らげた。
狭く机しか無いこの部屋に
男の声は反響した。
皆驚いて男の方を見た。
男はハッとして、いいから従え。
と一言。
何をそんなに焦っているのだろうか。
ただ名前に文句を言っただけなのに。
レイ
「…気を取り直して
順番に''属性判定"を行う。
まずはイチからだ。」
〜あとがき〜
ここまでのご愛読、有難うございます!
私がこの作品を、此処に記載しているのは
"生きる証"を残す為。
そして、"自身の最高傑作"を認知してもらう為です。
私は、とびきりの 構ってちゃんです。
この気持ちは、単なるエゴであり
ただの自己満足にすぎません。
自分の好きな事をしているだけ。
それが実現して…他人に評価された時。
通知が鳴り止まない時。腹を満たした時。
1番幸せを感じる筈です。
私に『生きている』と実感させてくれる瞬間です。