第19話:「期待の新兵」
〜前回のあらすじ〜
1週間後には、説明を受けた"バーチャル戦争"が
控えているらしい。 試験に受かって、まだ1日。
襲い掛かる不安から、訓練所で
組手をしていたゼロとヒロ。
…しかし、今日は新人歓迎式をする予定だったみたいだ
完全に遅刻した2人、何とか間に合い
5人の新米兵士が『自己紹介』を始める。
『武』の元気な女の子と、『個』持ちの女の子。
…もう1人の少年の『属性』とは……?
もしかして…この男も『個』か?
"リズ"からマイクを貰って、隣の男が話す。
セイヤ
「…どうも、"セイヤ"って言います。
『属性』は『個』で、よく分かんないやつです。」
ーシーン…ー
シレイ
「…え?終わり?」
セイヤ
「え? はい。」
シレイ
「ほら、なんか…目標とかないの?」
セイヤ
「…そうですね。」
シレイに質問されて、セイヤは俺とヒロの方を見た。
そして、嘲る様に笑って答えた。
セイヤ
「ま、同期じゃ誰にも負けないですかね。」
幹部達から驚きの声が上がる。
見た目に反して、相当な自信家みたいだ。
この3人の中でも、特に期待されているらしく
セイヤの発言に、惜しみのない拍手が送られる。
…って、こんな事言われて
黙ってる方が無理だろ!
シレイ
「えっと…次は。」
ヒロに渡る筈だったマイクを奪い取り
俺が大きな声で言った。
ゼロ
「俺の名前は"ゼロ"!
『属性』は『全属性』だ。
目標はただ1つ!
此処に居る奴ら全員!キングも含めて!
この世界含めて!俺がNo.1になる事だ!!」
どうだ!言ってやった!
俺はセイヤを睨んだ。まだ嘲笑している。
…周りは静まり返っている。
リュウ
「ギャハハっ!
あいつおもしれぇな!」
スティル(自由の国・幹部)
「あはは…いいね、若いって」
ジェット
「ねぇ、それより…『全属性』って…」
レイ(自由の国・幹部)
「…………」
…何だかザワつき始めた。
そうだ!俺だって凄い奴だ!自信持て!
こんな人をバカにする様な奴に負けてねぇ!
ーゴツンっ!ー
ゼロ
「いってぇ!!」
シレイ
「こら、順番守れ。
…ったく…ほら、ヒロ。最後頼む。」
ヒロ
「は、はい!」
ヒロはマイクを受け取る。
…何か、悪い事したな。
あがり症のヒロにトリを任せてしまった…。
ヒロ
「あの…えっと…」
ーキィィィィィンー
マイクがハウリングして、ヒロが慌てている。
俺が『落ち着け』と背中をさすると
ヒロは深呼吸して、話し始めた。
ヒロ
「あ、あの…ヒロって言います
ど、どうぞ宜しくお願いします…!」
ゼロ
「属性は?(小声)」
ヒロ
「あっ、そうだ!
えっと、『属性』は『個』です…!
これから、頑張るので!宜しくお願いします!」
ーパチパチパチパチ!!!!!!!!ー
おっ!な、なんだ?
5人の中で1番大きな拍手だ。
確かに、頑張って言ってたけど
ここまでする程か…?
シレイ
「よーし、5人ともありがとな!
…さて、ギアさん。お願いします。」
ギア
「うむ。
…皆の衆。我は嬉しく思うぞ。
『個性』の保有者が3名。
『武』の派生が1名。
更には『全属性』の者が1名。
今回の"新米兵士"は豊作である。
…噂に聞いていると思うが
1週間後、『漣の国』との戦争が控えている。
当然、我が国は"実力主義"だ。
"新米兵士"は関係ない。
強い者が"『14』の枠を制する。
今の地位が脅かされる危険がある
という事を、肝に銘じておけ。」
一同
「「「おぉー!!!!」」」
おっさんの演説に、みんなの指揮が高まる。
凄いプレッシャーだ。
…実力主義か。
願ってもない、強ければいいんだ。
シレイ
「ギアさん、ありがとうございました。
…って感じで、堅苦しいのは一旦終わりな。
明日から戦争の前日まで、メンバー選考を行う!
参加者は"兵士"のみ。枠は5つだ。
選考基準は『見込みがある』と判断された者だ。
新米兵士も含め、隣にいる者はライバルだと思え!」
一同
「「「はい!!!」」」
シレイの言葉で"兵士"が返事をする。
…枠は5つ、この30人近い人数で
上から5番までか。
バーチャル戦争の本来の"兵士"の枠は9名。
…余った幹部が絶対参戦って感じかな。
…そりゃそうだよな、強いから"幹部"なんだもんな。
リュウ
「今回は誰が"兵士"になるんだろうな!」
ハドウ
「最近は根性ない奴ばっかだからな。
新人には期待してんぜー?」
シレイ
「はーい、静かに!
明日の朝から"仮想世界"の訓練所を解放する!
俺と、入れ替わりで"幹部"数名が審査するから
是非アピールしに来てくれ。
…んじゃ、今日の所は各自解散で!お疲れ!」
…ホントに自己紹介しただけって感じだったな。
綺麗に並んでいた兵士達は、バラバラになって
各自、移動盤に並んでいた。
…"幹部"の連中は、まだ此処に残ってるみたいだ。
俺達も帰ろうとした時
幹部が揃って、台に上がってきた。
な、何だ?
ハドウ
「初めましてだな、君がヒロ?
期待してるぞ〜?」
ヒロ
「え!?は、はい!ありがとうございます!」
リュウ
「ハッ!お前レイをぶっ飛ばしたんだってな!
話は聞いてるぜ?」
…噂って怖いな。
間違えては無いけど、多分"試験"の話だろう。
暴走して、力の制御が出来てなかった時だな。
ヒロ
「いや…その、たまたまっていうか…」
ジェット
「いやいや!すごいよ!
僕もクールだけど、君も中々やるね!」
そっか、自己紹介の時
ヒロの挨拶だけ、拍手が大きかったのはこれが理由か
"レイ"はこの幹部達の中でも
相当な実力者なのだろう。
…そのレイを圧倒してみせた。って認識か?
幹部達がヒロの話で盛り上がっていると
生意気な男…セイヤが台から降りる所で
すれ違い際、俺と肩がぶつかった。
…というより、わざとぶつけて来たみたいだった。
ゼロ
「おい、いてぇな。」
セイヤ
「ん?あぁ、ごめんごめん。
眼中に無かったからさ。」
なんだ?こいつ。
さっきから思ってたけど、俺の事ナメてるだろ?
俺は怒りのあまり、セイヤの胸ぐらを掴んだ。
ゼロ
「おい、どうゆう意味だ?」
セイヤ
「そのままだよ。」
スティル
「ちょ、ちょっと!喧嘩は…!」
リュウ
「いいぞー!やれやれー!!」
ハドウ
「止めねぇぞー、やれ!新人!」
幹部達が俺をけしかける。
この流れ、やるしかねぇだろ!
俺はセイヤを殴ろうとした。
…筈だったのに…なんだ?
腹の当たりが…熱い…?
ヒロ
「あっ!ゼロ!!」
リズ
「きゃーっ!!」
なんだ…?何が何だか分からない…?
俺が意識を失う前に見たのは
3度目の…セイヤの嘲る顔だった…。
〜あとがき〜
ここまでのご愛読ありがとうございました!
この主人公、毎回酷い目に合ってますね。
よく高圧的に絡みに行く姿勢を見せるので
気が付いたら医務室に居るキャラみたいになってます。




