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08 救出


「侵入者だ!」

「こ、こっちに来……ぐはぁッ!?」


 商業都市ボールンゲンは城塞都市のカタチをしていて市壁がぐるりと囲んでいる。だが市街を囲む塁壁の高さもさほど高くないのでボクくらいの身体能力があれば軽く飛び越えられる。


 バゲイラの屋敷に忍び込んだまでは良かったが、番犬に吠えられ侵入がバレてしまった。


 やむなくボクは強行突破に移り、窓を割って屋敷の中へ侵入した。廊下に出ると一方向からたくさんボクに押し寄せてきたので、全員斬り捨てながら、彼らが来た方向へ向かう。


 この部屋か……。たぶんこの屋敷で一番の手練れで屈強な兵士を切り伏せたボクは施錠されていた重厚な扉を紙を裂くようにあっさりと吹き飛ばした。


 蒼く輝く剣身に宿るのは、剣匠メリキウスから伝授された黎力(アルカナム)という魔力とはまた違ったエネルギー。

 

 部屋の中へ入ると本来、本棚のうしろに隠されているだろう隠し通路の扉が開いていたので駆け足で階段を下りた。


「そこを動かないでもらおうでゅふ」

「……」

「そうだ小僧、おとなしく言うことを聞くでゅふよ、ぐふふふっ」


 カエルの化け物がなにか言っているが、あいにく化け物の言葉はボクは聞こえない、


 地下室に到着して一瞬で状況を把握する。三日月型の刃物をレイシアの首に当ててコチラをけん制するバゲイラがいる。でも他に気配はない。ここまで侵入したのに例の凄腕のふたり組が姿を現さなかった。──なら問題ない(・・・・・・)


「いぎぃッ! ひぃぃ~~ッ」


 バゲイラの手の甲へ黎力で作った投剣を飛ばし手の甲を突き刺した。バゲイラの手から三日月の刃物が零れたところに剣の柄で思い切り殴ってレイシアから引き剥がした。


「ま、待つでゅふ、この国と戦争になってもいいでゅふヵ?」

「さぁね」


 この国でも金持ちってだけで顔が広いのだろう。下手したら財界だけでなく政界にも強いコネクションを持っていてもおかしくはない。──でもそれがどうしたというのだろう?


 だいたい悪事を働くようなヤツが栄えていること自体がどうかしている。もし、今回の件を問題となるならこの国自体が病巣そのものなんだろう。


「ぴぎゃッ」──奇妙な叫び声がバゲイラが発した最期の言葉となった。ボクはレイシアの拘束具を断ち切って彼女を背負い、再び階段を駆け上がる。


 途中で出くわした連中も全員斬り捨て、館を出て、塁壁の上から水堀へと身を投じた。






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