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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

この場を持って忠実な剣でいることを辞めました。

作者: 凍頂

※この小説には残額描写、性的虐待描写を含みます。フラッシュバックを引き起こす可能性のある方は閲覧を控えるようお願い致します。


ザマァやスカッとよりも斬りたいなという気持ちで書きました。


 第二王子の18歳の生誕祭は1人の女騎士によって優雅なパーティーから血の海へと変わり果てた。




 「お前との婚約をこの場を以て破棄する!そして、彼女を俺の妻として迎え入れる!」


 第二王子の生誕祭、彼は婚約者である公爵家の令嬢に婚約破棄を突きつけ、新たな婚約者として貴族派の1人とされる伯爵家の令嬢と婚約することを公言した。


「殿下、この婚約は陛下の命令のもとで行われた婚約です!殿下1人で婚約破棄ができるものではございません。わかっていますでしょう、この婚約は国の財政に関与していることを!」


「黙れ!お前と婚約しなくても財政対策は可能だ!」


この2人の婚約は前王の私利私欲により、国の財政は破綻へと傾きかけていた。そこを『富の樹』と呼ばれる莫大な富を所有する公爵家と婚約することで帳消しになるという戦略結婚であった。


「お前とは違いは彼女は天才的だ。見るがいい!」


彼は伯爵令嬢が持っていた小瓶を掲げた。小瓶には薄紫の液体が入っていた。


「この液体は口に含んだ者の意思を奪い、人形化させる。つまりだ…価値のない平民共に飲ませ、人形にすることで奴らから100%で税を巻き上げることができる!金を財政回復に回せるのだ!」


周囲の貴族は彼の演説に拍手喝采だった。


「…!前王という身内の行いを関係のない平民押し付けるなんて…ましてや…平民を奴隷化させるなんて…なんたる外道…!」


公爵家令嬢は怒りに震えていた。爵位は高いながらも彼女は平民達とチャリティーやビジネスでのやりとりで接することがあった。彼らのおかげで今があることを知っているからこそ人権を無視した行いには許せないでいた。


「なんとでも言え。これを聞いた以上お前にはここで死んでもらう。おい、人形!」


第二王子は後ろにいた1人の女騎士に声をかける。


「この女を消せ。こいつの親になんか言われても消せば…」


刹那。第二王子の首が宙を飛んだ。首から下は崩れ落ち、切断部から血飛沫が待った。


「…契約を今ここで履行します。」


次に隣にいた伯爵令嬢の心臓を剣で貫いた。剣は真横に刺さり、引き抜かれる。即死だ。


「我が剣は」


突然の惨劇に周囲の貴族は悲鳴を上げ、会場から出ようとするも扉開くことも、押してもびくともしない状態であった。出られないように施錠の魔法がかけられていた。


「王族との主従の契約により」


次々と貴族派の者達を斬っていく、その剣捌きは剣舞の舞のように美しく、騎士の表情は返り血を浴びながらも人を刺すことに悦を感じる妖しい笑みを浮かべていた。

恐ろしい光景のはずなのだが、芸術的な美しさと錯覚してしまう。

命乞いをする貴族もいたが彼女の前では無意味であった。


「王族があってはならない行為をした場合」


詰みがある死体と煌びやかな会場は血の海と染まっていく。


「抑止力として…または執行人として…即刻排除…致します。」


会場はあっという間に血の海へと生まれ変わった。


「あら…もう終わりですのね。」


周囲を見渡し、「つまらない…」と物足りなさに呟き、足元にあった誰のかわからない頭部を蹴る。


「ご令嬢、ご無事ですか?」


腰を抜かし、へたり込んでしまった公爵令嬢に手を差し出す。

あまりの衝撃的な出来事が目の前に起き、思考がフリーズしていた彼女は騎士の声かけに「ヒッ…」と小さい悲鳴を上げてしまう。








「報告は以上になります。」


「うん、ご苦労様。これで王城は君と君の部下達の大掃除で綺麗さっぱりだね。」


 後日、第一王子の執務室にて騎士は今回の件の報告を上げていた。

会場にいなかった他の貴族派者達及びその関係者も処分された。

 

「偽の主従の誓いとはいえ今まで愚弟の護衛…大変だったんじゃない?」


「いえ全然」


彼女は第二王子の護衛はしていたが、本来の主従は第一王子であった為彼には完全無関心であった。


「とりあえず、陛下に報告と例の薬は提出するよ。それと…侍女にあとで強力な消臭の石鹸持って行かせるから…体洗ってきて…」


彼女から漂う血の匂いに耐えていたが限界がきたのか第一王子は鼻と口を押さえ、退出を促した。


「わかりました。失礼します。」


彼女は退出し、そのまま皇室にある自分の部屋へと戻った。









「最初は可愛い弟だったんだよ…」


机にある幼い第二王子の小さな自画像を眺める。幼い頃は少しわがままであったが愛らしく体の弱い自分の代わりに王になって貰おうと期待していたが、ある日を境に彼を始末することへと変わった。

 それは彼が12歳のこと庭園で開かれたお茶会にて挨拶回りを終え、休憩しようと人気のない所にある椅子に腰掛けようと向かったところ、小さな悲鳴が聞こえた。駆けつけたところそこには衝撃的な光景が映っていた。


それは弟が自分より幼い令嬢のドレスを引き裂き、身体を触っていたという異様な光景だった。

彼はこの時令嬢を助けるよりも自らの受けた過去の虐待が脳裏をよぎり、吐き気と過呼吸を起こしていた。


(うっ…助けないといけないのに…やめろ…!!やめろ…!!)


そのまま彼は倒れてしまった。

第二王子の態度はあー見つかってしまったという軽々しく、興醒めしたのか令嬢を放置して去った。

その後令嬢は身体的にも精神的にも深い傷を負い、幼いながらも命を絶った。


(あの時助けられなかった自分への怒りと血は争えない…ことを実感した)


 それ以降第二王子の振る舞いは、まだ若いが前王並みに似てきていた。現王も何となく察しており頭を抱えていた。


(同じことを繰り返さない為に…処分するしかないな…心苦しいのは確かだけど)



 彼は幼い頃前王であり、自分の祖父に性的虐待を受けていた。前王は退位後に残った権力を私利私欲だけでなく倫理にも反すること平然と行う人間としての屑だった。

何故虐待を受けたのか、それはあの男の身勝手な理由だった。現王の妻である母が好みの女だったことに手を出そうとするも現王に防がれてしまう。それに苛立ち、当時母に似ていた彼に目をつけ自室に連れ込み虐待を行った。短い期間であったが、彼にとっては地獄の日々だった。自らの親にも助けを求めようにも、母に手を出すぞと脅されており出来なかった。

 前王の最期はあっけなく処刑を行う前に性病で死んだ。最期は自分の手で殺したかっだのが心残りだった。


 あの事件から彼を始末する計画を立てていたが悪には悪の味方がおり、彼らの強い壁に弟は守られていた。

正面から倒すのは無理なら、背後から攻めるだけだ。自分は王位を継承する気はないということを表明し、自分の護衛騎士を譲ること公言した。勿論彼女にはスパイとして任務を与え、弟とは偽の主従の誓いを立てさせた。


「まぁ…計画通りってところかな」


第二王子の自画像をポイッと投げ飛ばし、目の前にある書類の処理を続ける。


「全てを任せようと思ったけど…悪い血は…消さないとね…。さて、やることが山々だ…。」


破棄された令嬢との再度婚約の手続きと残虐な光景を見たことによる心理的ケアに、継承の儀手続きに…

することは多々あるが、悪いことではないと彼は思った。良い国を作る為ならばと…。

補足の蛇足


昔見たテレビに幼い子供の頃から犯罪遺伝子というかそういうのがあるってのを見かけたのでそれを参考にしました。


女騎士

強力な軍事力を持つ公爵家の娘であり、第一王子の護衛騎士であったが、諸事情により現在は第二王子の護衛騎士をしている。

表情1つ変えないことから「人形」と揶揄されている。

彼女の家系は初代王との主従の契約を結んでおり、王族が過ちを犯さない限り忠誠を誓うとされる抑止力的存在。

過ちを犯せば牙を剥き排除する。


第一王子

病弱で王位を告げないことから弟に任せている。


★弟が生まれた時は喜んでいたが成長するにつれて、自分の祖父である前王に似てきており祖父から受けたトラウマと過去の過ちを犯してはいけないということから弟を消すことを決意する。


前王

第一、第二王子の祖父

倫理を無視した行為を行うクズ。


第二王子

わがままと傲慢

一部の派閥支持されてるが実際は操り人形(前王に狂信的な支持者)

彼が10歳の時に事件を起こす。




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― 新着の感想 ―
[一言] 肖像画じゃなくて自画像(第二王子自身が描いたもの)というのが、 狂ってしまった弟にも家族に対しては自筆の絵をプレゼントする という幼き日のほのぼのとした時代も確かにあったと連想できて切ないで…
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