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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ファンタジー

ゾンビ、窓辺から眺める日々

作者: めみあ
掲載日:2022/05/10


 ある日ゾンビになった。


 家族に閉じ込められて部屋から出られない。

 

 動けるだけマシかもしれない。

 弟はベッドに縛りつけられているから気の毒だ。



 

 窓から外が見える。

 最近は悲鳴も叫び声も聞こえなくなって

 仲間の唸り声しか聞こえない。

 

 結局、私達を閉じ込めた両親はゾンビになった。今も家の前をウロウロしている。


 誰にやられたか知らないけど、どうせなら私の食料になってくれたらよかったのに。

  

 

 お腹すいたなぁ。

 食べないとどうなるんだろう。

 

 

 

 ♢ ♢ ♢



 飢餓感に負けてゾンビになった弟を食べてみた。

 

 不味くない。


 弟の記憶がフラッシュバックした。

 共喰いしたからだろうか。

 

 

 

 外が騒がしいので窓から覗いたら、高校時代に好きだった柏木君がいた。まだ人間だ。


 人間の集団に追われている。最後は人間同士の争いになるのはドラマだけの話ではないらしい。助けてあげようかと思ったら、誰かを庇いながら逃げている。知らない顔だけど美女だ。


 やっぱり美男美女は残るものなんだな。



 そんなことを思っていたら

 柏木くんの頭が吹っ飛ばされた。


 ショットガンを持った男が笑っている。

 ここ日本だよね?


 他にもマシンガンみたいなものを持った集団がジープに乗ってやって来た。


 ここ日本だよね?

  

 ショットガンの音で集まってきたゾンビにジープの男たちが銃口を向ける。

 


 うわわわわっ

 わわわっ

 わわっ


 

 文字どおり蜂の巣ってやつじゃん。

 みんな穴だらけ。

 でもまだ動いている。

 メチャクチャ痛そう。


 ゾンビは痛みを感じないとか誰が言ったか知らないけど痛いんだよ! 痛いと言えないし態度であらわせないから知らないだろうけど。


 私もさっきテーブルの角でスネを打っただけで痛かったんだから!


 あ。美女がゾンビになってる。

 人間に捕まるよりいいか。柏木くんは頭を吹っ飛ばされたからゾンビにはならないだろうな。


 最後は私が看取ったからね。

 バイバイ初恋の人。



 ♢ ♢ ♢


 

 ショットガンの男が引き連れた集団は隣家に住み着いた。


 

 一日中うるさい。


 こっちは空腹だから余計にイライラする。


 まとめて食ってやろうか!

  

 あーあ。誰かドアあけてくれないかな。



 ♢ ♢ ♢



 獲物がかかった。 

 お隣さんの一人だ。


 うちに物色にきて私の部屋に入ってきた。


 もちろん私はドアの陰に隠れて、背後からガブリ。


 新鮮な方が美味しいけど、血で部屋が汚れるのはいやだから腐るのを待つことにした。

 

 ドアも開いてるからいつでも出られるけど、今はおとなしくしている方がいい。ショットガンで頭に穴をあけられる未来しか見えないし。


 

 

 お隣さんたちが騒ぎ出した。

 ヒデヨシがいないとかなんとか。あなたそんな立派な名前なのね…と思っていたら、他にもコブラとかオレンジとか呼びあっているのが聞こえたから、自分で勝手につけただけだった。


 ヒデヨシは逃げたと結論づけられたようだ。


 ここでゾンビになっていますよ!

 

 


 ♢ ♢ ♢



 ヒデヨシ君は、マシンガン持って生き残っていたくらいだから逞しい体つきをしていた。

 

 だからか知らないけど弟より美味だった。


 でも記憶のフラッシュバックはきつかった。

 不幸な生い立ちで大人になってもろくなことがない人生。マシンガンぶっ放したくなるのもわかる。

 君の父親に会ったら食べておくからね。




 

 これからどうしようかな。


 食料には困らないけど……

 


 ♢ ♢ ♢



 満腹感がないから、いくらでも食べられる。


 結局ショットガン軍団は完食。


 ペアで動けば私がお仲間を食べていたことに気がついただろうに。なぜみな一人でここに来たのか。


 お隣さんだからって油断しすぎ。


 

 

 

 だけどそのおかげで、今はすごいことになっている。


 ゾンビをたくさん食べたからなのか、なぜか私の腐った身体が再生して人と変わらない見た目になりつつある。


 声が、でる。

 歩行も速くはないが普通にできる。

 指も動く。

 

 心臓は動いていない。

 人間に戻ったわけではないらしい。


 無敵だ。



 ♢ ♢ ♢



 あれからだいぶ日は経ったと思うけど、私はまだ部屋にいて窓から外を眺める日々。


 ここは大通りに面しているからか、たまに人間が通る。人間はだいぶ減ったのかと思ったらそうでもないのかもしれない。


 窓から助けを呼べば、

 見た目は人だから助けに来てくれる。


 それを食べるだけの繰り返し。


 いつでもここから出られるけど、窓から眺める生活も嫌いじゃない。


 

 

 ロードムービーに憧れていたゾンビの記憶を思い出して、それもいいかなと最近思う。


 見た目はほぼ人間。

 若い女(29は若いよね)なら警戒もされないはず。


 きっと車に乗せてくれる。

 いくあてのない旅もいいかもしれない。


 車窓から眺める日々もいい、と

 わたしはゾンビになって初めて楽しい気分になった。








朝から申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ご両親が娘を隔離するにいたった経緯とか妄想すると中々楽しいですね。 見た目がほぼ人間になっていくのは、人間側からすれば厄介きわまりないですが、果たして人間が生き延びれるのかって感じがしま…
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