続き19
目の前の廊下の向こうからカタカタと操り人形が這いつくばって向かってくる。
それも数体。
「何、あれ? 」
俺が慌てて皆と<三本首>の巨体の陰に隠れた。
「老公の先発隊では? 」
ヤタガラスさんが話す。
「人形が動いてるよ」
「本当だ」
「いや、お前らマジで言ってんのか? 」
俺と<おやっさん>の野崎君が驚くと中西君が突っ込んできた。
「いや、結構、パニクってるんで。操り人形が人もいないのに何で動くんだ? 」
俺がそう答えた。
「いや、あんた達だって動いてるし」
「いや、それは操り人形じゃ無いし」
「変わらんでしょうが」
中西君が声を抑えながら突っ込む。
「あっ! 」
<おやっさん>の野崎君が叫んだ。
這いつくばって近づいていた操り人形が一斉に<三本首>の巨体を乗り越えてこちらに襲い掛かって来た。
「ひぇぇぇええええ! 」
中西君が叫んで逃げる。
それと一緒に俺と<おやっさん>の野崎君も逃げた。
「いや、戦う為に改造したでしょうが! 」
「すでに全部使い切って残って無いし」
「そもそも、中西君の方が巨体だから戦えるでしょうが! 」
「いや、開発してるものは表に出て戦わないでしょ」
「「たしかに」」
「認めちゃうんだ」
俺と<おやっさん>の野崎君が納得したのでヤタガラスさんが呆れ果てた声で答える。
だが、そのヤタガラスさんですら逃げてるんだから、多分、相当あの操り人形は強いのだろう。
そして、カタカタと言う人形の音はマンションのあちこちに響きだしていた。
凄い数の操り人形が乗り込んで来ていることになる。
「仕方あるまい」
「そう、思いますか」
俺が<おやっさん>の野崎君と顔を見合わせると廊下の窓から木のあるあたりに飛び降りた。
「ちょっ! 汚いっ! 」
中西君が叫んだ。
だが、我々は人形なのだ。
飛び降りても下に木があれば三階くらいなら壊れないのであった。