続き14
「ちっ、何だ、どこもかしこも岩だらけでは無いか」
<三本首>さんがそう愚痴る。
「これはコンクリと言います。貴方が体当たりで破ったのはアスファルトと言います」
そう俺が説明した。
「いらっとするわぁぁぁ! 」
<三本首>さんがブチブチ切れてる。
「ちょっと! 後は捨てたら駄目なものばかりなんですよっ! 」
中西君が我に返ったように叫んだ。
だが、それよりも激怒した<三本首>さんがマンションに這うようにして登って来た。
「ふははは、舐めた口を聞くようになったものだな」
そう<三本首>が笑った。
「ふははははは、入れまい! 首が三本あればその窓では無理だろうに」
俺がそう笑った。
「おお、そう言えば! やーいやーい! 」
それを聞いて<おやっさん>の野崎君が大喜びではやし立てた。
「馬鹿めっ! 」
そうしたら、窓枠ごと破壊して<三本首>が中に入り込んできた。
「その手があったかぁぁぁ! 」
俺が驚いて逃げた。
すでに先には<おやっさん>の野崎君と中西君が走っていた。
閉まらないドアを蹴って、皆で奥へと逃げる。
それを強引に通れないのに体当たりで<三本首>は追って来ていた。
「何と言う執念」
「そりゃ、からかうからでしょ」
ヤタガラスさんも一緒に飛んで逃げていた。
それでも、壁を破壊して、<三本首>は追いかけて来ていた。
「ひぃぃぃっ! 」
「何が一体っ! 」
マンション中で叫び声が起こる。
マンションの中に入り込んで三本の頭がある巨大な巨大な蛇が絡みついているのだ。
「まあ、ビビるよな」
そう言いながら、マンションの同じように扉が壊れている空き家に隠れた。
「あああああああ、大事なものが部屋に」
「土御門家に買ってもらいなさい」
中西君の絶望的な囁きを<おやっさん>の野崎君が冷やかに宥めていた。




