続き12
「何と言うバーゲン状態」
俺が中西君と<おやっさん>の野崎君がバンバン部屋の古い家電とか投げるのを見て唖然とした。
確かに、友人の流通業に勤める奴が台風のせいで配水管が壊れて地下の食品コーナーに水が降り注いだ時に、食品コーナーのマネージャーが大喜びで売れなくて困ってる在庫を売り場に並べて濡らしながら、『ああ、何て事だ濡れてしまったぁ』みたいなワザとらしい声を上げながら処理してるのを見て、すげぇと言っていたが、こんなとこで同じやり方を見るとわ。
「世の中は世知辛いなぁ」
「まあ、現実なんてそんなもんですよ」
<おやっさん>の野崎君が笑いながら答えた。
「糞っ、もう、投げるものが無い」
中西君は横で悔しそうに呟いていた。
「良いんですか? 思いっきり香ばしい人間を久しぶりに見ましたが」
そうヤタガラスさんが話しかけてくるが三鈴さんの為だ仕方あるまい。
幸い、亡くなった親の保険もあって、貯金は結構あるし、使って無いし。
まあ、土御門家には申し訳ないので、改造してもらっているのだから、手間賃として自分が払っても良いかと思った。
「それよりも、もういいんじゃないの? 」
俺がふと大事な事に気が付いて止めた。
「いや、もう投げるもん無いですよ」
「残念だ」
<おやっさん>の野崎君と中西君がそう答える。
「待って待って、もし、次のが攻めて来たらどうやって戦うの? 」
俺の疑問を聞いて、二人とも凄い顔をしていた。




