続き11
「何でも投げていいですよ。後、ポチと呼んでください」
あの中西君が凄い変貌だ。
「ふふふふふ、政界や財界に隠然たる絶大な力を持つ土御門家。冥婚とは言え、その象徴だった三鈴さんの旦那様。このインパクトたるや。地元民は皆、誰もが尾っぽを振りますよ」
「三鈴さんってあの三鈴様だったのかぁぁ! 」
中西君の目がキラキラしてる。
そして、大切にしていたデスクトップパソコンの本体も下に投げつけた。
「おおおおおおおお! 」
「何を一体っ! 」
喜んでる<おやっさん>の野崎君だったが、流石に俺は驚いた。
「土御門家は隠然たる政界や財界に力を持つ大金持ちなだけでなく、恩義には必ず報いるから、地元でも非常に大切にされているのです。つまり、中西君は助ける為にパソコンを破壊しても新品の最高級品が手に入ると喜んで相手に向かって投げているわけです」
<おやっさん>の野崎君が説明してくれた。
「いや、俺が払いますから」
「ふふふふふふ、大丈夫です。三鈴さんと冥婚が決まった時点でマスオさんだろうが、土御門家のお婿さんなんですよ」
「それは何かいささか……」
「何を言ってるんです? 貴方は三鈴さんを守ると決められたのです。ならば、縁とかそういうものを使っても彼女を守るのが愛ではありませんか? 」
<おやっさん>の野崎君がびしりと俺に言った。
「おお、確かに。まずは三鈴さんを守ると決めたのだ。それが一番大切なのは間違い無い」
「ふふふ、それではこれは大事の前の小事と言うものですよ」
<おやっさん>の野崎君に説得されている間にせっせと中西君は新調したい家電品を窓から投げていた。




