続き6
「おお、我らが<呼ぶもの>の加茂様。ここにいらっしゃいましたか……って、その姿は何です? 」
いきなり窓の外に現れたヤタガラスがそうドン引きしていた。
どうやら、雰囲気的に味方のようだ。
「味方みたいですね」
<おやっさん>の野崎君が苦笑した。
「いや、呪いの市松人形に封じ込められたんだが……」
俺が味方らしいと言うので、ほっと一息ついて答えた。
「いやいや、何で順応しているんです? 」
ヤタガラスさんはドン引きしているのが止まらない。
「改造された以上は彼らと戦って三鈴さんを守るのが天命です」
俺がきっぱりと話した。
「いやいや、その三鈴さんが旦那様がいないって半狂乱なんですが……」
「そ、それは考えなかったな……」
俺が三鈴さんに申し訳なく思った。
「いやいや、生きてるのは分かるでしょうに」
<おやっさん>の野崎君がそう反論した。
「いやいや、その呪いの人形は気配を絶つもんで後を追えないんですよ」
そうヤタガラスさんが説明してくれた。
「じゃあ、どうやってここが? 」
「呪いの市松人形とドジョウ掬い人形がこちらに向かったとかいろいろと話題になってまして……」
「ええ、話題になってるの? 」
「結構、街の人が騒いでましたもんね」
「いや、それは知らなかった。意外と目立つものだな」
俺が驚いた。
「いや、街中の暗いうちを髪が焼けて衣装が焼けて、布を巻いただけの市松人形が疾走してたら悲鳴を上げるだろうに」
「あ、それで騒いでたんだ」
俺がようやく納得がいった。
自分の姿は見えないし、必死だったし。
『横にいるのはどじょう掬い人形だから、そんなに怖いと思わなかった』
「いや、それはずれてるでしょ」
「本当だ」
中西君とヤタガラスさんに突っ込まれてしまった。




