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続き1

「今度はドジョウ掬いの人形と焼け爛れた市松人形かよ」


 そう中西君が頭を抱えて、机の上に座って椅子を反対にして座ってこちらを見ていた。


 お茶を小さなテーブルに二つ置いてくれてる自体は良い人なのだろうが、人形だからお茶は飲めない。


「まあまあ、そう言うな。いろいろ事情があるのだ」


 <おやっさん>の野崎君がそう説明した。


「いや、死んだくせに迷惑をかけすぎだろ! 普通は首吊り自殺で死んだ後に友人宅に訪ねに来ないぞ? 死んでんだぞ? 」


「いやいや、それは自殺で無く事故だから」


「お前さ。まさか、彼女のとこに訪ねに行ったりしてないよな」


「いや、したぞ? 」


「それでかっ! ガリガリに痩せてんだけど! 」


「それは心配だな。見舞いに行かないと」


「いや、そう言うのが非常識だと言うんだっ! 」


「いや、しかし、何度か彼女の家に会いに行ったら、わざわざ、俺が亡くなった部屋の前に花束を置きに来てくれたんだぞ? そんな優しい彼女が痩せてるのに見舞いに行かないとかいかんだろうが」


 そう<おやっさん>の野崎君が答えたが、俺はこないだ聞いた話と時系列が違うので驚いていた。


「え? 亡くなった後にすぐに彼女が花束を置いていったんで無くて、亡くなって野崎君が何度か彼女の家を訪ねた後に彼女が野崎君のアパートの前に花束を置いてったの? 」


「ええ、俺、元気だからって言いに行ったんですよ。自殺も事故だし気にしなくていいよって」


 そう<おやっさん>の野崎君が微笑んだ。


「それ、脅しになってないか? 怨霊になったと怯えてんじゃないのか? 」


「いや、ちょっとびっくりしたらしくて震えながらも笑ってたぞ」


 中西君の突っ込みに<おやっさん>の野崎君は相変わらずのポジティブ思考だ。


 ああ、笑うしかなかったんじゃないかな。


 そう、俺は思った。


「もう、やめてやれよ」


「いや、別に彼女が亡くなってたって冥婚してる加茂さんのような人もいるんだぞ? 」


 そう、市松人形の俺を中西君に紹介していた。


「え? この人生きてんの? 」


 そしたら俺も中西君にドン引きされた。


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