続き7
俺が仕事の様子を見て、上司に許可をいただいて会社の入り口の前に出た。
「え? 呪者? 三鈴さんのストーカー? トラックに轢かれた? 」
俺が下に降りる許可を直属の上司にお願いした時に、直属の上司が凄い顔して呟いたので同僚の皆がびくっとしていた。
何時の間にか社長が来てて、行きなさいって感じで手で合図をしてくれたので、直属の上司が許可をくださった。
下に降りると救急車があの男を収容して急発進するところだった。
「凄い運の悪い人ね。三台の乗用車に轢かれた後にトラックに轢かれるなんて」
「でも乗用車に轢かれてた時は無事だったのよ」
そのあたりにやじ馬で来てたおばさん達がさわさわ騒いでいた。
そんな事があるのだろうか?
俺が不思議に思って、交通課の警察官が事故の検証をしているところを見たら、能の面が砕けたものが幾つもあった。
「まさか、式神に身代わりにさせたのか? 」
「ご名答」
そう俺が呟いたら、さっきまでさわさわしてたおばさんのパーマかけてる方がギギィと首が回ってそう答えた。
「ちょっと、野村さん? 野村さんっ? 」
一緒にお話しをしていた髪を短くしたおばさんがパーマをかけている野村さんの首が反対方向まで回ってるのでパニックになっている。
「三鈴さん、やり過ぎだよ」
俺が苦笑した。
「いやいや、あの人しつこいんでこのくらいしないと駄目なんですよ。これだけやっても、すぐに戻ってくるんです」
「なななななな! 」
野村さんが若い女の子の声で話すんで横の髪を短くしたおばさんがパニックになってる。
「いや、それでも四トントラックなんて」
俺がそう答えたら。
「ど、どういう事なんだね」
検証してた交通課の警察官が訝し気にこちらに来た。
他の交通課の警察官もこちらに来た。
そしたら、交通課の警察官達全員の首がぐりんと回って交通課の警察官さん達が一斉にその場でひっくり返った。
失神したようだ。
「三鈴さん」
「しょうがないじゃないですか」
俺がそう言うと照れ臭そうに首が反対に回ったままのパーマの野村さんがもじもじ恥じらいだ。
「いや、俺は貴方と直接話したいんです。というか会いたいんですけど」
「いやああああああ! 恥ずかしいっ! 」
そう野村さんが叫んで倒れると、走り去る足音とともにあちこちの電信柱の電線がショートして大混乱を起こしながら三鈴さんが居なくなってしまった。
どうやら、帰ってしまったようだ。
「また、三鈴さんに会えなかった」
俺ががっくりと項垂れて仕事場に戻ると、社長が待っていた。
「悪いけど、三鈴さんにさっきの停電のせいで会社のデータが飛んだから、これだけはやめてくださいって伝えててくれないかな」
社長が困り切った顔で俺にそう言った。