続き6
そうして、会社から土御門さんのお義父さんに電話した。
そしたら、その男はかって政治家の選挙絡みの呪術合戦で三鈴さんが戦った事のある呪者だかで三鈴さんに敗れてからは結婚して欲しいとストーカーになったそうだ。
選挙がらみの呪術合戦って、本当にあるのかと驚いた。
「一応、三鈴が君を守るための眷属と式神さんを置いてるから心配しなくても大丈夫だと思う」
そう電話口でお義父さんが笑った。
「あの黒い犬はそうなんですね。中空に浮かんでた能のお面をかみ砕いた後に消えましたが……」
「ああ」
俺が本当に驚いた。
ちゃんと俺を守ってくれていたなんて。
「俺は本当に素晴らしいお嫁さんを貰ったんですね」
感激してついそう俺が話した。
「逆に心配なのはあの呪者の方だろうな。君に手を出そうとしたって昨日、三鈴が凄まじく怒ってたから」
お義父さんがそう笑って話は終わった。
俺が電話を切ると、皆が聞き耳を立ててたらしくて、凄い顔してた。
「呪者? 」
「そんなのいるんだ」
「恐ろしい世界だな」
そうひそひそ話す。
「何だよ、能のお面って」
河村先輩が驚いて聞いてきた。
「いや、昨日、コツンコツンって各部屋の入り口までの足音がして、何だろうって思ってうちの部屋の前で止まったんで思い切ってドアを開けてみたんですよ。そしたら、能のお面が浮かんでて見つけたって騒ぐもんで」
「ええええ? 今の話を聞いてぞっとしたんですけど」
河村先輩がワイシャツの袖をまくってサブイボが出てるのを見せてくれた。
「いやいや、ちゃんと部屋から黒い犬が出て来てかみ砕いてくれたんですけどね」
俺が河村先輩が怖がってるんで、笑顔でそう答えた。
そしたら、まわりの人ぞっとしたのか震えてるんでびっくりした。
どこが怖いのか、俺には良く分からなかったからだ。
皆が凄い顔して俺を見るので困ってしまって、何となく誤魔化すために窓の外を見たら、さっきの真っ黒なスーツを着た男が四トントラックにはねられていた。