続き4
「貴様ら、孫を返せっ! 」
祖母が叫んでやって来た。
「ふほほほほ、遅かったの。残念じゃが、お前の孫の身体は封印されて、魂はそれ、そこの市松人形に入っておる」
人形師がそう目の前に横たわる俺を指差した。
「市松人形? 」
俺が目を覚まして自分の手を見た。
それは市松人形の手だった。
そして身体を起こすと、そこには市松人形の足が見えた。
「こ、これは……」
「ふほほほ、<呼ぶもの>よ。悪いが我らの仲間になってもらう為に、わしの人形の中でも屈指の人形である呪いの市松人形に入ってもらった」
「くくく、ショックで気絶しないとはなかなか動じない奴じゃな」
<老公>人形師と<三本首>が市松人形になった俺を見て笑った。
「くくっ! 守りきれなんだ。すまんっ! 」
祖母が泣いていた。
「くくく、男ゆえ、このドジョウ掬いの人形にしようかと思ったが、我等が待ち望んだ<呼ぶもの>だからの。やはりそれなりの呪いの人形を使わねばの」
<老公>人形師がドジョウ掬いの人形を持って笑う。
「つ、つまり、この身体は魔物の人形としても屈指の身体だと言う事か? 」
「そうじゃ、嬉しかろうが」
<三本首>がニタニタと笑った。
「熱いっ! 何という熱い展開だっ! 」
俺が市松人形の両手を握り締めて叫んだ。
「え? 」
祖母が凄い顔をしている。
「……こやつ喜んでないか? <老公>? 」
<三本首>が不思議そうに<老公>人形師に聞いた。
「ど、どういう事じゃ? 」
<老公>人形師も少し戸惑った顔をしていた。
「つまり、これは悪の組織に改造された仮〇ライダーかデビ〇マンのポジション。しがない中年男がまさかのヒーローになれる瞬間が来るとはっ! 何という熱すぎる展開っ! 」
俺が市松人形のまま叫んだ。
「「おいおい? 」」
<老公>人形師と<三本首>が動揺していた。
祖母は固まったままだ。
「俺はこれから敵に改造された身体で敵と戦うヒーローになるのだっ! 」
俺が市松人形のまま右手を突き上げた。
他の全員が固まったままだった。




