続き3
「ほほう。これが噂の<呼ぶもの>かよ」
目の前にいつの間にか昔のからくりのような人形が立っている。
「お前は人形師っ! 」
祖母の顔が衝撃で歪む。
「ふははは、すまぬのう。お前達拝み屋や修験者や封印師が隠したがっていたものを先に見つけてしまったの」
からくりのような人形は踊っている。
そのからくり人形の後ろに深い深い闇がある。
「馬鹿なっ! 何故ここに? 」
「ふほほほほ、主らの敵で一番強い魔王の如き力を持つわしが、気が付かぬと思ったか……」
祖母の動揺を見透かすように人形師が笑う。
からくり人形の後ろの深い深い闇は深すぎて表情が分からないが、間違いなく笑っていた。
それも愉快そうに。
「まあ、あんだけ派手に騒げば馬鹿でも気が付きますよね」
俺が冷静にそう答える。
「ほう、わしを前にして怯えもせず、普通に話すか……」
人形師が感嘆したように呟いた。
「はあ、物事に動じない事だけが私の良いとこなので……」
「ふほほほほほほ、これは面白いの。流石、歴史に現れるかどうかの異能のものだけはある」
人形師が感心しているようだ。
「なんじゃ、長い年月を封印されて出てくれば、<老公>か? 」
「<三本首>も久しいの」
三本頭の巨大な蛇がいつの間にかこちらに来ている。
人形師と懐かしそうに話す。
「悪いが、<呼ぶもの>は我らの仲間になってもらおうか。婆も年を取り亡くなると、やはり生前のような力は使えんようじゃの」
祖母が人形師のからくり人形に叩かれて大きく向こうに飛んでいく。
「これはこれは封印がとけたばかりで、随分と運の良い事じゃ」
<三本首>と呼ばれた三本頭の蛇が俺を見てそう喜んだ。
「お前はこれから人形になってもらう。命と身体の方は残念ながら土御門家の封印でとれぬが、残念な事にその封印が欠けておるの。お前の魂だけをわしの人形に移す。お前は今日から市松人形じゃ」
人形師が手に不気味な不気味な市松人形を持っていた。
そこで、俺の記憶は途切れた。
何かグラグラして意識が飛んだのだ。
次回からついに本編が始まります。
そういう事になりました。
よろしくお願いいたします。
 




