続き5
夜遅くまで黒い犬を探していたせいで、殆ど寝れなかった。
明け方に疲れ切って寝たせいか、目覚ましが鳴るまで起きれなかった。
正直、目を覚まして驚いた。
何しろ俺は目覚ましが無くても起きれる方なんで、そんなもの使った事が無かったからだ。
三鈴さんがセットして置いてくれたようだ。
お陰で、ちゃんと目を覚ますことが出来た。
ひょっとして、昨日に何が起こったのか知っているのだろうか?
昼に土御門のお義父さんに確認してみよう。
そう、思ってリビングに向かった。
今日は炊き立てのご飯にナメコと豆腐の味噌汁と焼いた塩サバとベーコンエッグとほうれん草のおひたしとサラダといつものぬか漬けなどが並んでいた。
それから会社に向かったら、真っ黒なスーツを着た男がビルの入り口に立っていた。
顔は良いのだが陰気な男で、気味が悪い雰囲気を漂わせていた。
「お前が加茂義則か? 」
その男がいきなら聞いて来た。
「ええ、そうですが」
俺が訝しげに頷いた。
「三鈴さんを返せ」
「は? 」
俺が唖然とした。
「三鈴さんはお前に相応しく無い」
「いや、三鈴さんは亡くなられてますが」
「お前が冥婚してるだろうが! 」
「いや、どなたなんです? 」
「ふふふ、三鈴さんの正当な夫になるべきものだ」
その気味が悪い男はそう胸を張った。
そうしたら、車が飛び込んで来て跳ねられた。
結構、派手に飛んでガードレールにぶつかった。
「ふふふ、ハニー恥ずかしがるなよ」
その男はそう笑った。
そしたら、電信柱が倒れて来て、その男にのしかかった上に、電線が絡んで感電していた。
「だ、大丈夫ですか? 」
「ふふふ、三鈴さんの痺れる愛を感じるよ」
感電しながらも片膝をついて、三鈴さんへの愛を淡々と語るので気持ち悪くなったので、そのまま会社のあるビルに黙って入った。
三鈴さんに嫌われているんだろうなとだけは分かったが。