続き52
「ふふふふふふ、そうか散歩に行きたいかぁ」
俺が満面の笑みで豆柴タン達のハフハフ言いながらのウルウルとしたつぶらな瞳を見て一緒に屋敷の離れを出た。
なんて可愛いんだ。
ピタピタと歩く姿がすでに神!
「ち、ちょっと大丈夫なんですか? 」
野崎君が騒ぐが残念ながら俺には豆柴タンのふりふりと小さな振られた尻尾しか目に入ってなかった。
可愛すぎる。
俺が人生で最初の夢にまで見た豆柴達との散歩を満喫してたら、いきなりバンに放り込まれた。
「やれやれ。どうなるかと思いましたよ」
「あっさり出てくるとはなぁ」
そう運転手の男と俺をバンに押し込んだ男が呟いた。
鍛えられた筋肉はしていたが、別に武器を持っていない様子だが格闘技はしていそうな身のこなしだった。
「やっと会えましたね」
そう、目をキラキラさせて豆野さんがそこにいた。
「ば、馬鹿な罠だったなんてっ! 」
俺が叫ぶと豆柴タン達が一斉に目を伏せた。
仕方ない。
仕方ないよね。
「そうか、君達は悪くない」
俺が豆柴タン達に呟くと一斉に身を震わせてすまなさそうに豆柴タン達が吠える。
「そうよ。これでやっと貴方と会えたんですから」
豆野さんが笑った。
やべ、肉食獣だぁ。
「とりあえず、少しでも早く逃げますよ。土御門家とやり合うなんて本当はごめんなんですから。お嬢もいい加減にしてほしい」
そう運転席の男が愚痴りながらバンを発進させた。
「本当ですよ。これで西と東が戦争になったらどうすんですか。しかも、こんなさえないおっさんですよ? お嬢も趣味が悪すぎる 」
助手席の男が容赦ない感想を俺に突き付けてきた。
後ろを見ると野崎君が手を振っていた。
ほら、全然駄目じゃん。
そう思いながらも注意されてたのになぁと悲しかった。




