続き50
結局、また警察が来た。
全員が俺の顔を見た途端、ため息をついた。
「あの土御門さん。ちょっと、こう続くと何なんですが……こちらとしても……」
刑事さんが見るに見かねたような顔でお義父さんに囁く。
「いや、今回は息子が攫われかけたので」
そうお義父さんが息子と呼んでくれた。
ちょっと、身内がいない俺としては嬉しかったり。
豆野さんは警察のサイレンが鳴った途端に逃げたらしい。
犯罪者のような動きだ。
俺を攫おうとした連中は失血と全身の骨折のために救急車に運ばれていった。
勿論、大神さんもだ。
刑事さんの話では回復を待って、俺を攫おうとした理由を調べるらしい。
お義父さんの話では、俺を攫おうとした連中は、式神のように操られていたらしくて術者がかなりレベルが高く、間に身代わりを置いてるらしくて、黒い蛇しか見えないらしい。
三鈴さんなら分かるかもしれないとの事だが、さっきの抱き合ったのを思い出して恥ずかしくて奥の方に引きこもっちゃったらしくて、そうなると中々出てこないそうな。
「何で、俺を攫おうとしたんでしょうね」
俺が横にいる祖母に聞いた。
「分からんな。結構、根が深いかもしれん」
そう祖母が険しい顔をした。
「まあ、私が傍で見張ってますから」
などと野崎君が偉そうに祖母に自己アピールしてた。
「いや、君、さっき逃げようとしたよね」
俺が野崎君に突っ込んだが聞いて無い振りをされた。
「あの……虚空に向かって一人で話をするのを、やめてくれますか? 」
「凄く怖いんですけど」
そう捜査に来た方々が真っ青な顔で俺を見てた。
困ったもんである。
困ったものと言えば、最初に逃げた攫いに来た助手席の男は血まみれの姿で柳生十兵衛が! と叫びながら駅前を走り回ってるところを逮捕されたそうな。
おかげで街の人がまた土御門家絡みかと怯えてるとか。
つくづく困ったもんである。