続き42
「悪いけど、霊質はいるから」
豆野さんがぐいと差し出した手には人形のように小さくなった野崎君が居た。
「えええ? 霊質って? 」
「人質の霊のパターンと言いたいのでしょう」
俺の疑問に水尾さんが答える。
「いや、野崎君どうした? 」
「すいません。捕まっちゃいまして」
野崎君が必死に俺に謝る。
「ほら見なさい。この霊質は加茂さんの御友人。ならば疎かに出来ないはず」
「いや、大神さんの眷属らしいんですが」
「ああ、うちの大神の……あいつらしいな……」
俺が言うとお義父さんが納得していた。
「首吊り自殺の男を眷属にするとか大神さんもどうしょうも無いですね」
「あいつは本当に変わってるからのう」
大神さんの評価が最悪だ。
いや、分かんないでも無いけど。
「いや、首吊りは事故ですから! 」
必死になって野崎君が叫んだ。
「ほら。加茂さんともお友達ぃぃぃ」
ニタリと豆野さんが笑った。
何だろうな。
微妙に凄い迫力がある。
「いや、知り合いなだけでしょ」
お義父さんが冷やかに呟いた。
「それでも、貴方達の態度次第では、この霊は塵に帰る。それで良いの? それとも痛い目にあわせようかしら」
そう豆野さんが薄ら笑った。
ホラーだ。
そしたら、屋敷の玄関あたりが吹き飛んで、三鈴さんが現れた。
「ちょっ! 」
お義父さんが屋敷を破壊されて凄い顔をしていた。
「み、三鈴さん……」
俺が声を掛けるが、三鈴さんは豆野さんを見たまま顔が鬼のようだ。
美しいだけに怖い。
そして、三鈴さんがずかずかと豆野さんの前まで行くと、ぱしっと野崎君を奪うと地面に叩きつけた。
「あぎゃっ! 」
野崎君が叩きつけられたカエルのような声を出した。
「何てことすんのよっ! 」
ブチ切れた豆野さんが野崎君を踏みつけた。
「おぎょぎょぎょっ! 」
野崎君が変なうめき声をあげた。
「いやいや、野崎君が消えちゃう」
俺が慌てて呟くと、その踏みつけた豆野さんの足を三鈴さんが蹴り上げて野崎君が空を舞っていた。
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