続き41
「ねえねえ知ってる? 瓦屋根って重量があるんで耐震性は劣るのよ? 」
いきなり豆野さんが現れた。
「え? 」
俺が驚いた。
「豆野さんじゃ無いか。どうしたんだね」
お義父さんが訝し気に豆野さんを見た。
「いえ、本当に愛する人が出来たんです」
豆野さんが目をハートのようにして俺を見た。
「いやいや、待ってください。彼はもう、うちの婿ですよ」
お義父さんが困った顔で答えた。
「うちの御先祖様も全員、三鈴さんと結婚させると決めているんだが……」
祖母もきっとした顔で答えた。
「本当にこんな心が動じない素敵な方がいるなんて……」
だが、豆野さんは全然話を聞いていなかった。
「だから、うちの三鈴の婿だって言ってるだろうが」
「あちらこちらで惚れた駄目だで繰り返して来ているんだから、どうせうちのパッとしない孫なんかあんたの好きなタイプじゃ無いだろうに」
お義父さんと祖母が強く繰り返す。
「いやいや、何を言ってるの? これからの男性は心の座った強いのが素晴らしいのよ。軽薄なだけで、お化けにちょっと関わっただけで悲鳴を上げるようなのは駄目なの」
「いや、出来たばかりの彼氏さんをバラバラ死体の怨霊さんとかとの戦いにデートだと連れて行けば、そりゃそうなるでしょ」
水尾さんが酷く詳しい。
「それにね。真に奥の深いとこで何か見ちゃった」
豆野さんがキラリと目を光らせた。
お義父さんと祖母の顔が変わった。
「そもそも、三鈴ちゃんは16歳で彼は25歳じゃちょっと年の差が凄く無いかなって思うの」
「いや十くらいの年の差なら別に変じゃ無いと思うが……」
「いやいや、私なら近いし……」
「豆野さんは30歳じゃ無かった? 」
水尾さんが冷やかに突っ込んだ。
え?
この容姿で30歳?
三鈴さんと同い年かと思った。
「きゃい~ん。失礼なっ! まだ28ですっ! 」
きゃい~んと可愛い子ぶりながら声が震えていた。
やばいな。
殺気が迸りだした。




