続き39
「いやいや、そんな霊の世界の話を真面目にされても困るんですがね」
俺があまりの話についていけなくて、そう話す。
実際、霊界がどうのと言われても分かんないし。
だだ、少し前まで考えられないような世界に巻き込まれているのは確かだが。
死んだ人と普通に話すとか、ドン引きされそうな現実が続いてる。
「まあ、世間話が霊と話すと、こういう話になりますよね。特にこちらはそういうのの対策を専門でやってますし」
水尾さんが苦笑した。
「まあ、三鈴ちゃんと冥婚するなら、お前もそういうのが常識の世界に入るんだから、理解せんとな」
祖母が苦笑した。
「いや、そんな暢気な話している場合でなく。俺は仕事に行かないと駄目なんだが」
俺がそう時計を見て慌てていた。
何しろ、ここは会社のある所からは奥の方にあって時間がかかるのだ。
「あれだけの事があって、平気で会社とか心配してるとか、本当に腹が座っておられる」
「鈍感なだけだと思うがな」
水尾さんがクスクス笑って祖母がそう否定した。
「でも、御屋形様がお待ちですので。会社の方は土御門家の方から電話しておきましょう」
水尾さんが真面目にそう言った。
「いや、それは駄目ですよ。ちゃんと地に足がついた生活をしないと。三鈴さんを養わないといけないんだし、頑張らないと」
俺がそう答えた。
ただ、幽霊って何を食べるのかとかは全く分かんないし、聞かねばならないのだろうか?
などと考えていたら、土御門家の屋敷が半端なく揺れた。
「あら? 三鈴様が聞いていたみたいですね」
「凄い揺れ方じゃな」
「流石に屋敷が壊れるかも……」
水尾さんが困った顔をした。
「照れ屋じゃの……」
祖母が苦笑したが、三鈴さんの照れ方が半端なかった。
屋敷が激しく軋んでいて壊れそうだった。