続き3
そうして、仕事を終わらせて家に帰る。
すっかり、社内が俺を畏れている感じで、変な残業が全く無くなった。
そう言えば、社長の甥の井沢先輩は一からやり直すって事で、社長の知人の会社に平社員からやり直すようになったそうだ。
そのせいで井沢先輩のまわりに居た連中から、無茶苦茶気を使われるようになった。
首がギギギギィは流石に怖かったんだと思う。
そのせいで俺にとって半ブラック企業だったのが完全にホワイト企業に変わった。
特に、三鈴さんが俺と冥婚した事が財界に広がったらしくて、考えられないような大手企業からも仕事の話が来てるそうだ。
と言う事で社長ですら俺に敬語を使うようになって困ってる。
完全に浮いてると言えば浮いているのだろう。
正直、自分の力でなく、単なる三鈴さんのお陰なので、全然威張る気になれない。
非常に恥ずかしい。
そういう訳で、家にすぐ帰った。
今日こそ、三鈴さんにも会いたかったし。
で、アパートの自分の部屋を見て明かりがついて無いので少しがっかりした。
明かりをつけていない可能性もあるので、まだ諦めてはいないが。
「ただいま」
そうドアを開けて部屋に入る。
「あぅあぁぁあぁぁぁぁぁああ! 」
部屋に箪笥やらいろいろと新しい家具が入っていた。
しかも、模様替えが終わって、他人の家のようだ。
壁紙まで変わってて凄いんだけど、部屋が凄く狭くなった。
布団も一つしか敷けない。
「三鈴さんいるんでしょ? 」
俺が必死になって部屋で話しかける。
だが、誰も返事をしてくれない。
ふと見ると、リビングのテーブルの上には肉じゃがと刺身の盛り合わせと豆腐とワカメの味噌汁ときんぴらごぼうとほかほかのご飯といつもの糠漬けがあった。
そして、走り書きのメモ紙があった。
『荷物を減らしたはずなのに狭くなってすいません。家に帰って相談してきます』
俺ががっくりした。
「俺は三鈴さんに会いたいだけなのに……」
そしたら、激しいラップ音がして、タタタタタタタと俺の住む二階建ての軽骨鉄筋の階段を降りる音がした。
慌てて、俺が部屋のドアを開けると誰もいなかった。
「まだ居たんだ……会いたかったのにぃぃぃぃ」
俺がその場で崩れ落ちた。