続き38
「やれやれ。あんたも元気なんだね」
そう言って、いきなり祖母が現れた。
勿論、霊体である。
「おや、お久しぶりでございます。加茂の先生ですよね」
水尾さんが気にもせず、普通の人間のように話す。
「え? 見えるんですか? 」
俺が驚いて水尾さんに聞いた。
「ええ、ここの御屋敷は見える人しかいれませんから」
そう水尾さんが笑った。
「いやいや、知らなかったな。うちのお祖母ちゃんと土御門家と関係があったなんて……」
「いや、お前が知らないだけで、先祖代々の関係があるのさ。まあ、私の代でその手の拝み屋さんみたいなのは終わったからね。まあ、時代だよね」
「ええ、昔は拝み屋さんとかそう言う民間の祈祷師がそういうもののケアをしてましたからね。心のケアも含めて……でも、そう言うのもネットと言うものが出来て減りましたね」
「ああ、すでに私が亡くなった時に、その萌芽は出てたからね。昔は田舎から出て来た人達がいろいろと困って、それを新興宗教とかそう言うのが集めてた。でも、今はネットがある。ネットで聞けば困った事は誰かが答えてくれる」
「結構な事じゃないんですか? 変な新興宗教に引っかかる人も減るわけですし」
俺がそう祖母に答えた。
「いや、問題があるのは確かだったけどさ。だけど、祈りと言う大切な行為が減ってしまった。それで、神も仏も繋がれる場所が減った。それで天変地異とかも神仏が抑えれなくなった。異常気象が増えておるじゃろう? 祈りとは大切なんじゃ」
「そんなものなの? 」
「あくまで人の祈りが神仏を動かして全ての平安を保たれるのだから。大難は小難へ。そうやって来た日本と言う国がおかしくなり出した」
「特に、観光地化は良いですけど、聖地が外国人だらけになってしまってる。あそこは祈りを捧げるものが集まる場所なのに祈るものが居なくなってしまったんです。滝場なんか使う人もいなくなってしまった」
「聖地が荒れれば日本が荒れる。特に日本の聖地は悪いものを抑える為にある場所も多いのでの。観光客が増える……特に、信仰もしてない外国人ばかりになるのも問題なのじゃ。本来の信仰してるものが寄りにくくなるじゃろう? 」
祖母がそう話す。
「これが大きな問題になってるそうなんですよ」
水尾さんもそう話す。
俺には今一つ理解できない話だった。