続き34
「誰? 」
俺が野崎君に聞いた。
「いや、御存じで無いんですか? 東の豆野と言えば知らないものなどないほどの人物ですよ」
「いや、知らない」
俺が即座に答えた。
「何、この人。失礼な」
豆野さんと言う美少女が傷ついたように俺を見た。
「アイドルみたいに特集されたりしたんですよ」
「へぇ。どこで? 美少女だからかい? 」
「月刊ムーです」
「ぶっ! 」
野崎君の言葉で一気に吹いた。
いや、いきなり話が怪しくなって来た。
「東の最強の霊能者豆野柴子さんです」
「豆しばっ? 」
「おお、よくご存じですね。そういう風に呼ばれてます」
「いやいや、それはどうなの? 」
「何だか、三鈴っちが結婚するっていうから様子を見に来たのに、失礼な事言うなぁ」
豆野さんが憤っておられる。
「超々一級の霊能者です。天才ですよ。一応、ブチ切れの三鈴とメンヘラの豆しばとも言われてますが」
「ええええ? ブチ切れって? 」
俺的にはメンヘラよりも三鈴さんのブチ切れが気になった。
「ねぇ、知ってる? 女性の優れた霊能者って短気な人が多くて良くキレるんだよ? 」
豆野さんが教えてくれた。
いや、いらねぇな、こんな豆知識。
「まあ、ちょっとどこか変で無いと霊能者とかなりませんからね」
野崎君が本人を前に話す。
それと同時にまるで野崎君はその霊体を雑巾のようにギリギリに念動力で絞られた。
「すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません、すいません……」
野崎君がそれと同時に壊れたCDのリピートみたいに謝り続けている。
「馬鹿なの? 」
そう呟くと豆野さんがチュッパチャプスを胸のポケットから出して舐めだした。
何だ、この人、訳が分かんねぇ。
だが、豆野さんを大御門大地さんだった黒い靄も祖母も凄い警戒していた。