続き32
「今の日本人なら、そんな事より今夜の晩御飯をコンビニで買うかとかの方が大事ですから」
野崎君がそう胸を張った。
「世知辛いな」
「当たり前じゃ無いですか。天下国家とか考える暇なんて無いでしょう。日々の生活に一杯一杯ですよ。給与は安く、朝から晩まで働いてただ生きるだけのみです」
「が、学生じゃなかったっけ? 」
「勿論です。高い奨学金と日々のバイトに必死で。そしたら、いつの間にか同棲してた彼女が他に好きな人が出来たと言いまして、それを止めようと自殺をする振りを見せたら本当に死んでしまった。そんな人生ですよ」
野崎君がそう呟いた。
「情けない」
大御門大地さんだった黒い靄が呆れ果てたと言う感じで吐き捨てた。
「いやいや、何を言うんですか。今や時代はポリテクの時代。男女同権ですよ。貴方みたいにですね男がドーンとして世間が旦那様や彼の事を聞いてあげなさいなんていう男に優しい世界じゃ無いんですよ。男と女は平等でだからこそ、一心に君を失う事は自殺するくらいショックなんだってアピールしたわけです」
「頭がおかしい」
「いや、そういう時代じゃでな」
お祖母ちゃんがそう話す。
「馬鹿な事を。仏教ですら男は成仏しても女人は成仏できんと言う時代が長い事普通であったのに、何故、そこまで男は落ちたのだ。この新しい時代が駄目なのでは無いか? 」
そうなのだ。
男女同権で考えると信じがたいが、仏教はちょっと前まで女性の成仏を否定していたと言う。
まあ、そんな時代の人間からすると信じられん世界だろうな。
「まあ、今や、男の身体で心は女性だからって女性の試合に出るのも当たり前になって来てますからね。勿論、男の身体を持つ方が圧倒的につよいですが」
「いや、身体的な問題で男女に分けられていたのに、それを心の持ちようでスポーツで参加させたら、それはそうなるものじゃよな」
俺の言葉にお祖母ちゃんも頷いた。
「霊の世界なら心は女性よ、なら何の問題も無いでしょうがね」
「まあ、祈りによって変性男子になるって仏様の誓いにある菩薩さまもいらっしゃるしな」
「身体の差はいかんともしがたいですよね」
野崎君が深く頷いた。
「いや、お前らもおかしいのではないか? 」
大御門大地さんだった黒い靄がやはり信じられない世界らしくてそう聞いてきた。
「いや、とにかく、一番大切なのは愛ですよ。それが全てを解決するのです」
野崎君が強引に締めた。
何だろうなぁ?
自殺するふりで相手を止めようとした野崎君が言えるセリフでは無いのだが。
間違えて投稿したので、ガタガタになって未完成で投稿しました。
なおしましたが、また改稿するかもしれません。




