続き10
「何をしている? 」
慧光が呻いた。
崩壊していく加茂の怪物が必死に触手を動かして核ミサイルを降ろしていた。
原潜の原子炉の部分もだ。
それは原潜の胴体のまま吸収されていた。
それは必死に見えた。
「ああ、自爆するのに核ミサイルとかあったら全部爆発しちゃうからじゃ無いか? 」
目玉がそう苦笑した。
「自爆? 」
「奴が倒した<黄泉の王>とやらと同じで中核の奴の人形部分は爆発させて砕くしかあるまいよ」
三鈴の問いに目玉がそう答える。
「そんな事はさせない。あの人は私が守る」
そう三鈴が震えるように涙を流しながら答えた。
決意表明のような言葉だった。
触手が核ミサイルを置いた後、近隣の自衛隊の護衛艦から対地ミサイルを触手で持って行く。
「あんたはそこにいろ。俺が助けて来る」
それを見た目玉が答えた。
「いや、悪魔が何故だ? 」
矜羯羅がそう訝し気に聞いた。
「いや、あいつ。多分、細胞とか血肉があれば人間を構築できる能力がある。そもそも俺の契約の薫子は生き返らせてと言う真行寺男爵との契約だったのだ。俺は人形に魂を込めて生き返らせるしか出来なかった。だが、奴は違う。これで契約終了に出来るしな。人形にしたら永遠に守ってくれと言われてしまったから」
そう目玉が苦笑して加茂の怪物の触手に掴まった。
大量の手下の悪魔たちが次々と、加茂の怪物の触手に掴まって加茂の怪物に向かっていく。
「おーい。本体の俺、生きてるか? 」
小さい加茂がそう叫んだ。
「生きてるけど、もうすぐコントロールが効かなくなる。それまでに自爆しないと」
「いや、自爆しない方法は無いのか? 」
「あったら俺が知りたい」
鵺が聞いたら加茂が吐き捨てた。
「一か八か、対地ミサイルが爆発する時にタイミングを合わせてお前の魂だけ引き抜こう」
そこへ目玉が触手を走って来て、そう話しかけた。




