続き7
地響きを立てて<黄泉の王>が跪いた。
奴の核をぶち抜く。
それは頭かそれとも胴体か。
残念だが、俺は妖の気配を感じる程度だったので、そういう事までは分からなかった。
何と言っても俺は素人なのだ。
だから、同時攻撃を行った。
相手の頭に近隣の艦船からの対地ミサイルを集中させた。
そして、俺は心臓の辺りに渾身の力を込めてレールガンの右手でぶち込むとともに発射するつもりだった。
だが、<黄泉の王>の頭は半壊させたものの、胴体は俺の右手のレールガンごと吸収を始めた。
「俺を飲み込むつもりか? 」
俺がそう思って呻く。
身体全体の妖の数は<黄泉の王>のが大きい。
もし、総量の力でやり合うなら負けてしまう。
そして、所詮はコピーしただけの俺だし、本体同士の戦いで勝てるかどうかも微妙だった。
「だが、それでも三鈴さんを守る! 」
そう俺が叫ぶと本体同士の食い合いの戦いを始めた。
やはり、<黄泉の王>の中核は心臓のあたりにあったようだ。
そして、<黄泉の王>と俺が接触した。
「え? 」
俺が動揺していた。
蜘蛛の巣のように張り巡らした触手とデータリンクに侵入したせいか、<黄泉の王>の心まで分かる。
あの怪物は俺が現れたのを喜んでいた。
俺と戦えるのを喜んでいるのではない。
俺に滅ぼされるのを喜んでいる。
「話が違う」
俺が呻いた。
「良く来てくれた。君なら僕の願いをかなえてくれると思った」
そう<黄泉の王>は子供の思念で答えた。
「子供なのか? 」
「元々は人柱の子供だった。目が見えないから強制されたんだ。でも、それを悪用しようとした変な修験者や呪術師達が居て、僕の特異な能力を悪用しようとしてこうなった」
「嘘だろ? 」
「彼らは贄の気持などなんとも思わない。彼らは正義だと思ってそれを実行した。そういうのは貴方にも分かると思う。肥大する力は凄く辛い。人間で無くなって、滅ぼす道具にされるのはもっと辛い」
<黄泉の王>はそう巨大なテレパスで呟いた。




