続き30
「お前、賀茂のババアかっ? 」
大御門大地さんだった黒い靄が叫ぶ。
「いやいや、あんたよりずぅぅぅっと年下なのにババアとか言われるとムカッと来るね」
そうお祖母ちゃんが笑った。
「貴様も三鈴みたいに霊として生きてるのかっ! 」
「孫が心配だったからね」
「生きてるって? 」
俺がお祖母ちゃんに聞いた。
「まあ、良く言う守護霊とかって奴さ。毛並みは違うがね」
お祖母ちゃんが俺に笑った。
「な、何で? 」
「直系では無いけど、あんたにも賀茂の血が流れてんのさ。勿論、私にもだけどね」
「ま、まあ、読みが一緒だと漢字が違っても同じ姓だとは言うけど、傍流の傍流なのに」
俺がそう答える。
「相変わらず冷静だね。そう言うとこがご先祖様達のお気に入りなのかもしれないけど」
お祖母ちゃんが笑う。
「くくくっ、糞ババアが死んだのに三鈴とともにこちらの邪魔をするかっ! 」
「仕方ないさ。そろそろあんたらの封印が解ける頃だからね」
「ふははは、天皇を中心とした呪詛的な封印と呪いのような力が破壊されてきたのだ。我らがいよいよこの世界に現れる時が来たのだ」
「それを我々が黙って見ているとでも? 」
お祖母ちゃんがそう冷やかに答えた。
「ここまで全てが弱まればそうせざるをえまい」
「先祖代々の祖霊はそのままだよ。あんたはこの国の祖霊の力を理解していないようだね」
「力だと? 貴様が言うか? 」
「国津神の中から天津神系の神武天皇の導きを行い! さらには仏教が日本に入る橋渡しをした賀茂家を見くびる気かい? 我が国の様々な悪しきまつろわぬ神を最初に綺麗にした孔雀明王を忘れるでないよ! 」
お祖母ちゃんが春雷の様に叫んだ。
「孔雀明王は眠ったままだろうに」
大御門大地さんだった黒い靄があざ笑う。
「何か、少年漫画みたいですね」
野崎君がいつの間にか横にいる。
「おおおい、刺客はどうした? 刺客四天王は? 」
「逃げました」
「おおおおぃ! 」
「戦国期の可児才蔵も同じですが、関ヶ原で逃げる時は仕えていた豊臣秀次に雨の日の傘に候(雨の日には傘が必須であるように、今この時に必要な物は譲ることはできない)と答えて逃げてます」
「いや、馬の話はしてないけどな」
俺が野崎君に突っ込んだ。
「この孫は本当に暢気だね」
お祖母ちゃんがそれを見て呆れて笑った。
ちょっと電波な書いちゃっていいのかって話がw