続き5
「ポンポン頭を叩くな。妖の総大将ぞ! 」
そうぬらりひょんが叫ぶとともに凄まじい数の妖が護衛艦を取り囲んだ。
「馬鹿やろう。この程度の脅しでビビるなら鬼の棟梁なんてやって無いんだよ! 」
<三日月>が絶叫するとともに角がぐいっと伸びた。
「待った待った! それどころじゃ無いでしょうよ」
そう慧光が止めた。
「ねえ。加茂さんを殺したら、貴方達を皆殺しにするから」
そう三鈴が見た事も無いくらいの夜叉のような顔でぬらりひょんを見た。
「……いやいや、ちゃんとバックアップを取ってあるから! 」
ぬらりひょんが鵺の上に居る小さい加茂を指差した。
「そういう問題じゃ無いでしょう」
三鈴が血の涙のようなものを流しだす。
「待ちなさい! 貴方が怨霊化してはいけない! 」
三鈴の背後に光り輝く巫女神が現れて止めた。
だが、すでに凄まじいまでの陰の気が渦巻き始めている。
「いやいや、三鈴も怨霊化はやめておけ。もしも加茂が帰って来た時にあいつが帰る場所が無くなるぞ」
そう目玉が言ったら、三鈴がびくっとして陰の気を集めるのをやめて、がっくりと項垂れて跪いた。
「我もそう思います」
そう鵺も同意した。
背中に乗っている小さい加茂もだ。
「いよいよ、出て来るぞ! 」
そう目玉が叫んだ。
空間が歪んで、その歪の中から、巨大な巨大な足が入って来る。
どう見ても一キロ以上の巨大さだ。
それを見て護衛艦に居た自衛官が全員真っ青になった。
「ぉぉおおおおぉぉぉぉおおおぉぉぉぉおおお! 」
それはこちらの空間に入って来ると加茂の変わり果てた姿を見て咆哮をあげた。
「どういう事だ? 喜んでいる」
そう目玉が呟いた。




