続き10
「今頃、出てこられてもな。そもそも<黄泉の王>とかどうする気なんだ? 」
そう<三日月>さんが批判的に<おやっさん>の野崎君のぬらりひょんを見た。
「いやいや、最初から対策はしておったよ。<呼ぶもの>の小僧を使ってな」
そうぬらりひょんが笑った。
「え? 」
「どういう事ですか? 」
俺と小さい俺が驚いた。
「ふふふふふふ、お前さんを見た時、<呼ぶもの>としてあらゆるものを呼ぶ力があるのは分かっていたが、もう一つ相手の力をコピーして使う事が出来る事に気が付いたのさ」
そうぬらりひょんが話し始めた。
「な、何だって? 」
<三日月>さんがぬらりひょんを訝しげに見た。
「そこで、三鈴を守るであろう、その性格を利用して<黄泉の王>と対決させて、その力をコピーさせた。それとともに、こ奴の理性と性格と記憶をもしもの時にバックアップとして使うべく分離した。だが、それは<黄泉の王>に読まれて奪われてしまったからの。しかし、安心せい。加茂さんよ。あんたの心は間違いなくあんたのものだ。偽物では無い」
ぬらりひょんがそうきっぱりと話した。
「そ、そうなんですかっ! 」
俺が驚きもあったが、それ以上に嬉しくて涙が出て来た。
妖魔の姿だが、これはしょうがない。
「いや、ちょっと待って、え? 」
小さい俺はちょっと動揺していた。
「お前だけが出来るのだ! <黄泉の王>を倒してくれ! 三鈴の婿よっ! お前がもしもの時に何かあっても、バックアップはここにある! 」
バーンって感じでぬらりひょんに言われて俺が喜びに震えた。
「いやいや、それはちょっとおかしいのでは? 」
「騙されてるんじゃないですかね? 」
そう鵺さんと小さい俺が不安そうに呟いた。
「ふふふふふ、対策は万全じゃっ! 理性とかはそこにあるからなっ! 」
ぬらりひょんさんがびしっと小さな俺を指差した。
俺が燃えた。
バックアップがあるなら大丈夫だっ!




