続き29
「ふふふふ、ご安心ください。まだまだ精鋭ぞろいですから。そう、あえて言うなら、奴は刺客四天王最弱の男なんです」
「いやいや、刺客四天王って何よ? 」
俺が大御門大地さんだった黒い靄のやばさを見て慌てて突っ込んだ。
すでに凄まじい黒煙のように黒い霞は拡がっていた。
勿論、ポルターガイストはさらに酷くなっていた。
「大神傘下の土御門精兵部隊の刺客四天王の事です。有名な塩振りおじさん……ヌスレット・ギョ◯チェ氏のコスプレの人はあくまで刺客四天王最弱なんです。これから本物の次の刺客四天王が現れますよ」
「いやいや、最初の大神さん傘下で、もう信じれないんだけど」
「ふふふふ、お待ちを……さあ、そこなるまつろわぬものの念と化した悪霊よ! 我が土御門精兵部隊の刺客四天王の次なるものを見よっ! 」
野崎君が大声で叫ぶと静かにホテルのドアを人を招き入れる様に開けてこちらに一礼した。
だが、誰も出てこなかった。
「さあ、次なる刺客の四天王様どうぞっ! 」
再度大声で怒鳴った。
だが、誰も入ってこなかった。
「……あれ? 」
そう呟くと野崎君が外を見に出た。
俺と大御門大地さんだった黒い靄が野崎君をじっと見ていた。
「どうも、帰っちゃったみたいですね。しょうがないんで、呼んできます」
野崎君が満面の笑顔でそう言うとホテルの廊下を滑る様に移動していった。
「いやいや、逃げてんじゃないよねっ! 」
俺が野崎君に叫んだ。
「はははは、何を馬鹿な事を。次なる刺客四天王、乞うご期待ですよ。待っててくださいね」
これほど爽やかに笑って去っていく首吊り自殺の霊がいるだろうか。
野崎君は笑顔で姿を消した。
……逃げた。
間違いない。
自殺したのに命を大事にするとか、流石大神さんの眷属だけはある。
「ぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁぁぁぁ! 」
大御門大地さんだった黒い靄が逃げたのに気がついたらしくて、暴れ出してる。
ポルターガイストはホテルを本格的に揺るがせ始めた。
少ない宿泊客が部屋から飛び出て逃げていく。
「やれやれ。三鈴ちゃんに助けさせてあげて仲を進展させようと何もしなかったんだけど、三鈴ちゃんは間に合いそうにないねぇ」
そこに着物を着た小柄なお婆さんが現れた。
凄く優しそうなお祖母ちゃんだが、顔に見覚えがあった。
「え? 祖母ちゃん? 」
俺が驚いた。
どちらかと言うとだいぶ前に死んでるはずの祖母が目の前に現れたんで、そちらに驚いたのだが。
遅くなってすいません。
次回はもっと早く投稿いたします。