続き2
会社の昼休みに土御門家に電話をかけた。
土御門のお義父さんがわざわざ電話に出られて、そして驚くことにやはり三鈴さんは昼でも普通に現れれるそうな。
しかも、本人が着たい服が着れるそうで、これって死んでると言えるのだろうか?
家族で普通に食事もしてたらしくて、そこが少し納得いかない。
「あの子は恥ずかしがり屋だから」
そうお義父さんに苦笑されたけど、なんだか納得いかない。
そして、近々、娘の生活する為の荷物が俺の家に届くとの事を教えられた。
娘の荷物は大量にあったけど、まだ新居で無くて旦那さんのアパートに住むわけだから、旅行程度の荷物にするように注意しておいたからと土御門のお義父さんに笑われた。
どうやら、俺は結婚した後は新居に移る事になっているそうな。
しかも、どでかい屋敷らしくて、困ってしまう。
いや、まだ私と三鈴さんは婚前ですよと言ったのだが、本人のたっての願いであるし、何より今時はそんなものだろうとくだけてお義父さんに言われてこっちが恐縮した。
「これ、まんま同棲だよな」
俺がそう呟くと周りの社員がびくびくと震える。
電話の話も漏れていたらしくて、皆が青い顔をしていた。
「冥婚って、そこまでするの? 」
同僚の土屋がそう恐る恐る聞いてきた。
「いや、と言うか毎朝ちゃんと朝食とか作ってくれて、服もアイロンかけてくれてるし凄いんだ」
俺がそう答えた。
「え……と……そう……なの……か? 」
そう困ったように土屋が答えた。
死んだ人間が?
と思いつつも、こないだの怪異を皆が見たので出来ないわけでは無いなと思ったらしい。
そして、それを聞いた半数以上の既婚者の同僚が何故かその話を聞いて俯いてたのが印象的だった。
「現実は厳しいからな」
土屋がしみじみと呟いた。
いや、現実って何よと突っ込みたかったが黙っていた。