続き6
「待ってください。諦めるのは早いですよ」
また<おやっさん>の野崎君が現れた。
「<おやっさん>、ワームがいないんだ」
俺が途方に暮れたように話した。
「正義の味方が戦う時の必須を思い出してみましょうよ」
そう<おやっさん>の野崎君が意味ありげに笑った。
「多数で一人をタコ殴り? 」
「いやいや、戦闘員がいますよ! 」
<おやっさん>の野崎君がそう叫んだ。
「いや、戦闘員は勘定に入らないから……。最初から戦闘員を怪人クラスにしたら勝つのにと思うけど」
「それは言わない約束でしょ、おとっつあん! 良いですか! 戦闘員とか言うけど実際はちゃんと改造されてて、人間の数倍の力を持ってるんです! あのおやっさんが凄い武芸をやってたんで倒せるだけなんです! 」
「昔、父が元気だった時に言ってた。怪獣攻撃の戦闘機とか毎回落とされてるけど、いらなくねって」
「初期のは怪獣も宇宙人も倒してたりしましたから! そもそも、それ違う奴ですよっ! 」
<おやっさん>の野崎君が何てことを言うんですかと言う感じで叫んだ。
「いや、父親が生前、結構、横で突っ込みが五月蠅くて。最初の方で光線だすと、ああ、今日は負ける日だとかさ。やっと光線で倒しても、最初から光線だけで良いんじゃねとかさ。戦ってる時に歌が始まったから時間だからもう勝つぞとかさ」
「それ、違う方ですし。そもそも、それはどうしょうも無い部分ですよっ! 」
<おやっさん>の野崎君の突っ込みが凄い。
「いや、どうもそう言う変な見方をしちゃう時があってね。俺はヒーローもの好きなのにさ」
「何となくだが、なるほど。お前は父親似なんだな」
俺がそうぼやいたら、<三日月>さんがそうぼそっと呟いた。




